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第55回雲雀丘学園中学校卒業式を終えて

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  3月19日(金)、奈良東大寺二月堂のお水取りも済み、本格的な春の訪れを感じさせる暖かな天候の下、第55回目となる中学校の卒業式を行ない、165名に卒業証書をお渡ししました。私は式辞の中で「感謝」と「感動」という二つのことを取り上げました。この内容を紹介します。
  一つ目は、〝感謝〟です。
  皆さんは、これから高校に進み、ほとんどの人が3年後には大学に進学しているのではないかと思います。皆さんはこのことをあたり前のように考えていませんか。でもこれは凄いことなのです。
  今、世界には68億の人が生活しており、これからも増え続けていきます。そして、世界の人口は1日に22万人、1年では実に8千万人ずつ増加し、今世紀半ばには90億人に達すると言われています。
  しかし、現在の日本のように豊かな生活を享受できているのはこのうちのごくわずかな人達だけです。以前、『地球が100人の村だったら』という本が出版されました。皆さんの中にもこの本を読まれた人もいると思います。これによると半数にあたる50人が十分な食べ物がなく栄養失調になっています。そして、80人が電気やガス、水道のない住居に住んでいます。勿論テレビも冷蔵庫もエアコンもお風呂もシャワーもありません。何キロも離れたところまで水を汲みに行かなければなりませんが、この仕事は子ども達の重要な役割になっています。そして、驚くべきことに70人は文字が読めません。大学に行ける人はわずか1人に過ぎません。このように世界には勉強したくても学校に行けない子ども達がたくさんいるのです。また、現在、地球の裏側のハイチやチリでは大地震の後の復興が遅れ、人々は苦しい生活を余儀なくされています。イラクやアフガニスタンのように、テロの恐怖におののきながら生活している人も数多くいます。
  このような人達がいる中で、今皆さんはこうして卒業式を迎えているのです。本当に恵まれていると思いませんか。皆さんが今日こうして卒業式を迎えることができたのも、お父さんやお母さんをはじめ、多くの人達のお陰なのです。人間は一人で生きている訳ではありません。食べる物も着る物も自分でつくっている訳ではありません。お互いに助け合って生きています。これから皆さんは常に感謝の気持ちを持って生活していってください。
  二つ目は、〝感動〟です。
  人の人生は一回限りで、後戻りはできません。だからこそ、この一回限りの人生を充実したものにしていくことが大切です。皆さんは、充実した人生とはどういうものだと思いますか。私は、どれだけ多くの感動をしたかで決まる、言い換えると〝感動の回数に比例する〟と思っています。感動のない人生は実に味気なくつまらないものになるでしょう。何事にも困難はつきものですが、目標が高ければ高いほど、また、懸命に努力すればするほど、達成した時の感動は大きいものです。皆さんは失敗を恐れず、高い目標に向って果敢に挑戦することにより、感動溢れる人生を送って欲しいと願っています。
  人生はよくマラソンレースに例えられますが、皆さんのレースはスタートしたばかりです。現在、皆さんは8キロ地点を走っており、まだ全体の5分の1のところにいるのです。皆さんのこれからの人生には必ずしも平坦な道ばかりではなく、険しい山や深い谷もあると思います。しかし、どのような時にも、雲雀丘学園中学校の卒業生であるという誇りを持って、『感謝』と『感動』を胸に刻み、前向きに人生を切り拓いていって欲しいと心より願っています。