出る杭を伸ばす人材育成
イノベーション25について議論する総合科学技術会議
先日の校長通信に〝日本の高度成長期に必要とされたのは「金太郎飴」的な人材が重宝され、「出る杭は打たれる」という言葉に代表されるように同質集団化を追求し異質な人材を排除してきた〟という趣旨のことを掲載しましたが、これを読んだ友人から、一度時間があれば今年6月1日に閣議決定された長期戦略指針「イノベーション25」を参照するようにというメールをいただきました。
早速、インターネットで調べてみました。この中には『未来をつくる、無限の可能性への挑戦』というテーマで、世界の中において今後日本が進むべき道が示されており、「科学技術創造を基盤にイノベーションを創出し、国際競争力を強化することによって「いかに多様性を活用し社会を創造的に活性化するのか」にかかわる極めて重要な提言が盛り込まれています。
そして、科学技術イノベーションと社会システムイノベーション、人材育成イノベーション創出を一体的に進めるための「政策ロードマップ」が示されています。興味深かったのは、人材育成イノベーションのキーワードが「出る杭を伸ばす人材育成」「異(異能・異端)が大事」であり「国民一人ひとりの意識改革」を強く迫っているということです。
イノベーション(innovation)の語源は、ラテン語の(innovare:新たにする)ですが、(in:内部へ)+(novare:変化させる)という意味です。従来はよく「技術革新」という言葉で言い換えられてきていますが、これまでのモノ・仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて、新たな価値を生み出し、永続的に大きな変化を起こすことです。
「類は友を呼ぶ」とか「出る杭は打たれる」といった言葉に代表されるように、同質なものに囲まれていると安心感にスッポリはまりこみ、異質なものがはじき出されるということになってしまいます。
今、日本はいたるところでこれまで同質集団化という強みが逆に弱みになってきており、これが発展を妨げる大きな要因になってきています。まさに異質なものを受け入れイノベーションをはかるという姿勢が必要であると感じています。