これからの日本を考える
20世紀の後半から始まった世界人口の急激な増加と情報化・グローバル化の進展は、わが国の政治・経済をはじめ、私達の生活を大きく変えてきましたが、この状況は今後ますます加速されてくると思われます。
21世紀の世界が抱える課題としては、生活に直結した「食糧」「水」「エネルギー」の不足や「地球環境」があげられますが、これらの底流にあるのは人口爆発といわれる、世界の人口問題です。世界の人口はこの100年の間に約3倍になり、今後も毎年7~8000万人が増加して行きます。このままでは10年後には73~74億人、2050年には90億人になる見込みです。そうなると生活のベースとなる食糧・水・エネルギーの確保は今まで以上に難しくなってきます。このことは現在、食糧やエネルギーの大部分を海外に依存しているわが国にとっては、決して看過できない極めて重要な問題であり、長期的な視点に立って対応策を考えておかなければなりません。しかし国民一人ひとりがこの状況を正しく認識し、危機感を持っているかどうかは疑問です。これらは個人レベルで解決できるものではなく、国家レベルでの高い見地からの取り組みが必要となってきます。
今、食糧やエネルギーが確保できているのは、自動車産業を中心とする優れた技術力や製造力のおかげなのです。我々が豊かな生活を享受できているのは第二次産業の力に支えられていると言っても過言ではありません。昨今のBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする多くの国の経済発展は目を見張るものがあり、生活水準も飛躍的に向上してきています。また、国家あげて、産業育成や人材育成に取り組んでいます。このような中で、日本の生きる道は技術立国としての優位性を確保していくことと抜本的な農林水産業の建て直しではないかと思います。そして、これらのベースとなるのはまさに将来の日本を背負って立つ人財(材)の育成です。
我々教育に携わる者は勿論のこと、すべての国民が日本の現状を正しく認識し、高い志を持って日本の将来に向けての取り組みを開始していきたいものです。