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これからの日本を考える~国際競争力の低下と財政再建~

IMD

  「世界に冠たる経済大国」を自任している日本にとって、経済的な競争力は重要なファクターになっており、毎年発表される国際競争力ランキングについては、多くの人が関心を寄せています。
このランキングについては、IMD(スイスのビジネス・スクール)とWEF(世界経済フォーラム)の二つが有名であり、IMDが本年5月10日に発表した『2007年度の国際競争力ランキング』については先般紹介させていただきました。これは世界55の国を対象に「マクロ経済」「政府の効率化」「ビジネスの効率化」「インフラ整備」の4分野314項目にわたり、毎年調査を行ない『世界競争年鑑』として公表しているものですが、わが国にとって非常に衝撃的な結果になったということは記憶に新しいと思います。これによると1990年代の初頭には世界1,2位であった日本の競争力は2006年の16位から24位と大幅に低下しました。
  このIMD発表から約半年後、世界経済フォーラム版のランキングが先日発表されました。これは131カ国・地域を対象にインフラ整備状況や市場規模、技術力、教育制度、マクロ経済の安定度等12項目を組み合わせて総合的な競争力を評価したものですが、この調査でも日本は昨年度の5位から8位と順位を下げてしまいました。ビジネスの洗練性や技術革新と市場規模、インフラの整備状況、労働市場効率等は比較的高い評価を受けている反面、長引く財政赤字の影響でマクロ経済の安定度が97位と足を引っ張る結果になっています。
  昨年7月に、日本の財政を立て直すための「経済財政運営方針」により、2011年度に財政収支(=プライマリー・バランス)を均衡させることが決定されましたが、1000兆円を超える借金ための金利分の赤字は増え続けることになります。日本の財政が破綻の可能性がない状態まで改善させるためには、「プライマリー・バランスの達成」、「国債等の利払いも含めた財政収支の均衡」、更に「景気や金利の変動を考慮しても借金が増加しないところまでの借金の減額」という三つが必要になりますが、これらは相当高いハードルです。一日も早く財政再建に向けた取り組みをスタートさせなければ、将来取り返しのつかない事態に陥るのは間違いありません。
  日本国民一人ひとりが目先のことにこだわるのではなく、将来にツケをまわさないという気持ちで財政問題について真剣に考えていくことが大切であると思っています。