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日本の伝統と文化 ~干支の由来

十二支

  日本では、恐らく自分の生まれた年の干支を知らない人はいませんし、毎年、師走に入ると来年の干支を考えて年賀状を作成している人も多いのではないかと思います。また、その年の干支に当たる人を年男・年女と称し、お正月や節分などで催される様々な行事に借り出され祭主をつとめることもよく見られます。このように干支は我々にとってごく身近なものになっており、ねずみ、うし、とら・・・いのししという動物を指すものが一般的になっています。
  しかし、本来の意味は“干支”と書くように干(かん)と支(し)の組み合わせのことをいうのです。古代中国では十干(10進法)と十二支(12進法)によって、年・月・日・時・方位・角度・物事の順序等多くのことに使っていました。農業と狩で日々の糧を得ていた当時の人々は字が読めなかったため、作物の成長度をはかるため一年を12に分け、わかりやすいように動物を当てはめたと言われています。
日本では、十干を省いた十二支が一般的に干支(えと)と呼ばれるようになりました。そして、子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)の12に振り分けられました。
  暦にはなお五行陰陽思想による十干が残っています。自然界は木、火、土、金、水の五つの要素で構成されており、更に“陽”を表す兄(え)と“陰”を表す弟(と)に分けると、10になります。これが十干と言われるものであり、木の兄(きのえ=甲)・木の弟(きのと=乙)、火の兄(ひのえ=丙)・火の弟(ひのと=丁)、土の兄(つちのえ=戊)・土の弟(つちのと=己)、金の兄(かのえ=庚)・金の弟(かのと=辛)、水の兄(みずのえ=壬)・水の弟(みずのと=癸)となります。
  そして、年の呼び方には、10(十干)と12(十二支)の最小公倍数である60通りがあるのです。このようにして暦は60年経つと元に戻ることになります。これが還暦です。平成18年は丙戌(ひのえいぬ)、平成19年は丁亥(ひのとい)、そして、平成20年は戊子(つちのえね)となり25番目にあたります。そして平成21年は己丑(つちのとうし)になるのです。ちなみに組み合わせの1番目は甲子(きのえね)であり、甲子園球場が出来たのは1924年、大正13年です。
                           ≪続く≫