憤の心を起こす
今回、中学入試を受けていただいた方全員に対しては、面接をさせていただきました。その中で感じたのは子ども達の勉強時間の長さです。勿論個人差はありますが、毎日4、5時間勉強している子ども達も数多くいることがわかりました。学校から帰るとお弁当を持って塾に行って勉強し、更に学校の宿題をしているといったケースもあるようです。これではまさに、勉強漬けの毎日です。「勉強は楽しいですか?」と聞くと、はっきりと「勉強が楽しい」と答える子どもはあまり多くないようです。小学生の段階では親から言われて勉強しているというケースがほとんどだと思いますが、勉強の基本は自学自習であると思います。
教育で大切なことは、知識を詰め込むことではなく、「憤」の心を起こすことであると言われています。佐藤一斎の『言志録』には「発憤することが学問をする上で最も大切なことである。」と書かれていますが、「憤」とは子どもの心に「自分からやりたい」という気持を起こさせることです。「よし、やるぞ」という気持を持って学ばせることが出来れば、子どもの力は大きく伸びることでしょう。このことをあまり考えずに親が勉強を押し付けると、「やりたくないのにやらされる、嫌々やる」というパターンに陥ってしまいます。
子どもに「やらせる」形の勉強からの脱却をはからなければ、子どもの潜在能力を引き出すことはできません。
子ども達にやる気を起こさせる方法を学校でも家庭でも考えていかなければならないと思っています。