壮大なナイアガラ・フォールズ
世界最大の水量を誇るナイアガラの滝は南米のイグアス、アフリカのビクトリアと並ぶ世界3大瀑布の一つであり、壮大さは驚くばかりである。日本では那智の滝が有名であるが、ナイアガラ滝と比べるととても滝と呼べるものではない。ナイアガラの語源はネイティブ・カナディアンが呼んでいたニアガル(雷轟く水)である。
ナイアガラの滝が誕生したのは1万2千年前と言われている。氷河が溶けて多くの大地が海に沈んだが、その際一部が大きな湖の形で残り、ここに大量のロッキー山脈の雪解け水が3000kmの長い旅の後流れ込み、スペリオル湖・ミシガン湖・ヒューロン湖を経て、オンタリオ湖に注ぎ込み五大湖が形成されるに至る。
ところが、エリー湖とオンタリオ湖の間には約100mの高低差があるため、水が流れ落ちるナイアガラ大瀑布となったとのことである。大量の水のため、滝は平均して年間3mずつ後退していたらしいが、今は人工的に水量を調整することにより、3cmの後退にとどまっている。もし水量調整が行われなかったなら、アメリカ滝は消滅してしまうだろうとも言われている。また、この100mの高低差のため、ナイアガラの急斜面においては湖から湿った温暖な空気に包まれ、逆に西からの寒風は丁度上を吹き抜ける形になるため、果物の生産にとってこの上ない好条件となっている。このため、洋梨・葡萄・ブルーベリー・桃等豊富な果物の産地となっており、特に葡萄の生産量は国内の85%を占めるに至っている。
ここでの最大のイベントは〝霧の乙女号〟「Maid of the Mist」による船上からの滝壺体験である。滝の真下まで近づくため、水しぶきが凄いため、頭の上から青いレインコートをスッポリとかぶり出発する。以前はこの青いレインコートではなく、何人もが代わる代わる着ていたため、あまりにも汗の匂いが臭くて不浄であったため、持ち帰っても良いという事にして、薄手のコートに変えたそうだ。また持ち帰らない人については回収箱が設けられており、すべてリサイクルされている。準備が完了し、いよいよ霧の乙女号は滝に向かって出発する。まず正面のアメリカ滝の前を通り過ぎる。物凄い水しぶきである。アメリカ滝よりもカナダ滝の方が滝の真下に入ることになる。滝にどんどん近づくにつれて、水しぶきは激しくなってくる。しぶき(飛沫)といった生やさしいものではなく、極端な言い方をすれば、頭の上からバケツで水をぶっ掛けられているという表現があてはまる。船は落ちてくる水の勢いで左右に大きく揺れ、船内は大騒ぎである。このような体験は他では得られないだろう。