自分の頭で考えなはれ~上甲晃先生の講演から
先日の上甲晃先生の講演では、人を育てるさまざまなキーワードが示されました。その中で印象に残った一つが松下幸之助氏の口癖であった“自分の頭で考えなはれ”という言葉です。松下政経塾の教育方針も“自修自得”つまり自ら問いを発し自ら考えるということであったようです。
今の学校教育の最大の弱点は“与えられた問題をいかに的確に解くか”という能力が重要視されるあまり、自ら課題を見つけ出して解決するという能力が身についていないということです。学校では、先生は常に問題を出します。解らない事があれば生徒はすぐに先生に質問をし、先生は生徒達に答えを教えています。通常直ちに答えを教えてくれる先生は良い先生であり、そうでない先生は人気がありませんが、これでは本当の学力は身につきません。
生徒達はやがて社会人となりますが、一般社会では答えを自ら導き出さなければなりません。言い換えると自ら問題を作り出し、その上で自ら答えを見つけ出していく力が大切なのです。わかりやすいようにメーカーの新製品開発を例にとると、どのような商品が売れるのかを自ら考えていかなければなりません。お客様がどのような商品を望んでいるのか、今はどういうことに不満を持っているのか、安い価格、安心、安全、快適を追求するためにはどうすれば良いのか等、智恵を絞り出していかなければなりません。また、正しい答えが一つということではなく数多くあるのです。
本校の教育方針は〝将来社会で活躍する人材の育成〟ですが、“社会で役立つ力”を育てるためには、先生がすぐに答えを示すのではなく、自分の頭で考え抜くという習慣を身につけさせることが不可欠です。このために今後カリキュラムや授業の見直しをはかっていきたいと思っています。