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なぜバレンタインデーにチョコレートを贈るのか

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  先日〝素朴な疑問を持つことが大切である〟ということの一例として〝なぜ2月は28日しかないのか〟ということを掲載すると、ある人から生徒達にとっては〝なぜバレンタインデーにチョコレートを贈るのか〟という方が興味があるのではという意見をいただきました。明日(14日)はバレンタインデーで、最近では、この日に女性から男性にチョコレートを贈るということが習慣化してきましたが、このことについては知らない人も多いようなので今回取り上げたいと思います。
  バレンタインデーは、269年、ローマ帝国の皇帝であったクラウディウスⅡ世が出した「自由結婚禁止令」に背いて処刑されたキリスト教の司祭 聖バレンティノ(英語名:バレンタイン)の命日にあたるこの日が「恋人達の日」とされたことに由来します。そのためこのバレンタインデーに花やケーキやカードを贈る習慣が生まれましたが、必ずしもチョコレートを贈ることにはなっていません。女性から男性にチョコレートを贈るのは日本特有の習慣なのです。そして、驚くことに日本ではこの日に関連して売れるチョコレートの量は、年間の12~15パーセントと言われており、デパートやスーパー等にはさまざまな種類のチョコレートが陳列されています。また高級品を扱っている店では、年間売り上げの実に30%を超えるところもあるようです。しかし、このような年間行事になるまでには実に半世紀という長い年月がかかっているのです。そして、この間にはチョコレート・メーカーの血のにじむような努力があったということを忘れてはなりません。
  バレンタインデーにチョコレートを贈るという最初のイベントは、1958年(昭和33年)に、メリーチョコレートの営業主任であった原邦生氏(後に社長に就任)によって開催されました。同氏はヨーロッパにいる知人から聖バレンタインの話を聞き、新宿の伊勢丹デパートでキャンペーンセールを行ないましたが、3日間で売れたのは、わずか30円の板チョコ5枚と4円のカード5枚の計170円だったそうです。それでも諦めずに、翌年にはハート型のチョコレートを作り「女性から男性へ」という文句を添えて売り出す等の新たな試みを行ないました。また1960年には森永製菓がバレンタイン企画を新聞広告に掲載しました。このような挑戦を続けることによって昭和50年(1975年)代になって、やっとイベントとして定着したのです。一時、職場の上司や同僚に対して贈る〝義理チョコ〟やバレンタインのお返しとなるホワイトデーのあり方等についても話題になりました。
  最近では色々な物の販売が伸び悩んでいますが、企業は何とか消費者の財布の紐を緩めようと懸命な取り組みを行なっています。毎年継続的な販売を確保するために記念日を設ける等の動きも出てきていますが、このような取り組みについても注目していきたいものです。