産業界のCO2排出
先月末までに、産業界の主要10業種の2008年度のCO2排出実績が出揃い前年度比で全業種減少になりました。この数値を見ると順調にCO2の削減が進んでいるように見えますが、決して楽観できる状況ではありません。これは昨年のリーマンショックに端を発した不況の影響で減産や消費低迷が進んだからであり、削減の努力をした結果ではないのです。もしこれまで通りの生産が続いておれば、確実にCO2の排出は増加していたと思われます。何故なら京都議定書の基準年である1990年比では電力、石油、電機・電子、スーパー等は大幅な排出増になっているのです。特にスーパーではほぼ100%、電機・電子では68%、電力では44%、石油では31%も増加しています。スーパーの場合は平均延べ床面積が13%も拡大し、営業時間は37%も延長、電機・電子では半導体や液晶のクリーンルーム等での電気の大量消費、電力では原子力発電所の利用率が低迷しました。
日本はCOガスを2020年に1990年比25%削減するという意欲的な目標を掲げましたが、これを必達するためにはこれまでのやり方を改善するというような考え方では駄目だと思います。また、安易に世界の国々から排出枠を買うというようなことでつじつまを合わせるようなことも避けなければなりません。
現在、日本が持っている環境技術を総動員して大幅な削減をはかるための取り組みを進めていかなければならないと思っています。