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社会で役立つ力の修得

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  日本においては中学までは義務教育となっていますが、高校への進学率が次第に高まり、現在では約97%となっています。また、今回の公立高校の授業料の無償化によって、ほとんどの生徒が進学することになり、ますます義務教育に近い姿になります。更に 大学進学の状況を見ると、1950年(昭和25年)代には約1割でしたが、高校進学率と同様1970年(昭和45年)代半ばまでに急増し、1976年には38.6%という第1のピークを迎えました。その後、大学進学率はやや微減という傾向になりましたが、1980年(昭和55年)代からはハイテクを中心として経済成長が続き、高度の専門知識を有する技術者などへの需要が高まり、平成に入ると再度大学進学率が上昇し、1993年(平成5年)には40%を越え、現在では50%を越えるようになってきました。この数字は、アメリカやイギリスと並んで世界の中でも非常に高い水準です。また、他国に比べて退学率が低いため、世界有数の高学歴社会の国ということになります。
  しかし、大切なことは大学を卒業したという肩書きではなく、社会に出てから役に立つ能力が修得できているということです。私はこれまで民間企業での勤務を通じて社内外の多くの人達とお会いしてきました。また、著名な大学を卒業してきた人達と一緒に仕事をする機会も数多くありました。これらの経験を通じて感じるのは、まず勤務の基本である「健康」や「人間性」「情操」「物の考え方」「凡事徹底」が大切であるということです。
  いくら能力があっても病気がちであったり、すぐに寝込んでしまったり、ここ一番という時に力が発揮できないということでは立派な仕事はできません。また、爽やかな挨拶をする、約束を守る、時間に遅れない、我慢する、思いやる、感謝する、相手の立場に立つ、志すという姿勢が必要であり、これらがなければ、いくら高度な知識を身につけていても社会で活躍することはできません。社会で活躍するための力、言い換えると社会人基礎力というのは、これらのベースと専門知識やスキル、ノウハウの複合されたものなのです。今の入学試験ではこれらを見ることはほとんどなく、狭い意味での学力を中心に入学判定を行なっていますので、人間としてのベースが弱いまま社会に出る人が出てくるのです。
  本校では「人間教育の充実」と「学力の向上」を教育方針の基本の柱にしていますが、社会に出るまでにしっかりと社会で役立つ力を身につけさせたいと思っています。