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土用の丑の日にあたって

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  今年は、本日(7月26日)が土用の丑の日で、鰻を食べた人も多かったのではないでしょうか。万葉集の巻十六には大伴家持の『石麻呂に 吾物申す 夏痩せによしと云う物ぞ うなぎ取り召せ』という歌が残されていることから分かるように、日本では1000年も前から、夏ばてを防ぐために鰻を食べる習慣があったようです。暑いときに食べるというのはたぶん自然に生活の知恵として定着していたと思われます。
  土用というのは元々土旺用事と言ったものが省略されたものです。現在、土用というと夏だけのものになっていますが、正確にはすべての季節にあるのです。日本の暦は元々、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)という五行説がベースになっていますが、これらの五つを四つの季節に割り振ろうとすると無理が生じます。そのため、まず春は木、夏は火、秋は金、冬は水というように割り振ることにし、次に残った土はすべての季節に均等に存在するものとして、それぞれの季節に入る前の18~19日間をあてることにしたのです。このため「土用の明け」は次の季節の始まる日の前日(夏土用は、立秋の前の日に終わる)ということになります。従って、土用は立春、立夏、立秋、立冬の前に四回あるということになり、更にこの間の日々にはそれぞれ子・丑・寅・・・という十二支があてはめられています。そして、各土用の中で丑の日にあたる日が「土用丑」と称して鰻を食べる日ということになっているのです。
  現在、日本は世界一の鰻消費国で、国民一人あたりが食べるのは年間約5本です。鰻については近年、その驚くべき生態が解明されつつあり、また、永年の夢であった〝鰻の完全養殖〟も叶えられつつあるのです。