優れた環境技術を生かす
エコカー
昨今、いたるところで日本の国際競争力の低下が取り上げられてきていますがこの原因を一口で言うとグローバル化という大きな潮流に乗り遅れたということです。言い換えると日本経済が絶好調であった1980年代に打つべき手が打てていなかったということであり、現在その時のツケが回ってきていると考えなければなりません。
昔から〝失敗の芽は得意(成功)の中にあり、成功の芽は失意(失敗)の中にある〟と言われています。また、〝ピンチはチャンス〟〝ピンチとチャンスは裏表〟という言葉もあります。日本にとって厳しい状況にあるのは間違いありませんが、プラス思考に立つと、経済情勢の厳しい今が日本にとってはチャンスです。
今後、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)をはじめVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)等の途上国が大きな経済成長を遂げることになり、これに伴い温暖化ガスの排出量が増大することになります。この対策を講じないと、地球環境は壊滅的な打撃を受けることになるでしょう。そのため、世界各国において、さまざまな環境への取り組みが始まっています。日本も2020年には、温暖化ガスの排出量を1990年比25%減にするという意欲的な目標を掲げていますが、現時点においてはこれまでの増加分を含めると40%に近い削減が必要ということになります。このように見ていくと、長期的に先進諸国では温暖化ガスを半減するというくらいの取り組みが必要になってくるのは間違いありません。
これから日本が早急に取り組まなければならないのは中長期の視点に立った国家戦略の構築です。そして、その中核となるのがこれまで蓄積してきた日本の強みである「優れた環境技術」ではないかと思います。ハイブリッドカーや電気自動車への切り替え、非食料バイオ燃料の精製、LED照明への切り替え、太陽光・風力・バイオマス発電の促進、CO2の地下貯蔵、スマートグリッド(次世代送電網)の導入等数限りなくあります。これらの環境技術に磨きをかけ、官学民が連携して世界をリードしていくことが、元気な日本を取り戻すことになると思っています。
これから、この校長通信を通じて、さまざまな環境技術とその動向について取り上げていく予定です。