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中学校全校朝礼~クロマグロの完全養殖

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  12月8日(水)、中学の全校朝礼でクロマグロの完全養殖の話をしました。
  これは何の写真かわかりますか?「クロマグロ」です。今日は、このクロマグロの完全養殖というテーマでお話しします。

  ところで、皆さんに対して、“あなたは誰ですか?”と質問されたら、どう答えますか? “男です” “女です” “中学生です” “雲雀丘学園の生徒です” と色々な答えがあると思います。しかし、もし外国に行って、“あなたは誰ですか?”と言われたら、恐らく多くの人が “私は日本人です” と答えると思います。それでは “日本というのは、どういう国ですか” と聞かれたら、どのように答えますか?何と答えたら良いのかと困る人もいると思います。
  大切なことは、自分達が住んでいる日本という国のことをよく理解しておくことなのです。日本の良いところ、日本の強みを知ることが大切です。そのためには、今の日本がどうなっているのかということと、これまでの日本はどうだったのかという歴史、言い換えると横軸と縦軸をしっかりと勉強しておかなくてはなりません。
  今回の尖閣諸島での中国漁船の衝突問題ひとつを取り上げても、その背景にはどういうことがあるのかをしっかりと把んでおく必要があります。今日はこの話に詳しく触れるつもりはありませんが、中国の生活圏の拡大と海洋資源の問題が係わっています。
 
  さて、日本の国土面積は世界で61位ですが、海洋面積(排他的経済水域)は、世界第6位です。1位はアメリカ、次いでオーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダ、日本と続きます。従って、日本には実に豊かな海洋資源があります。その1つが魚です。漁獲高は中国、ペルーに次いで世界第3位(・・・・4位チリ、5位アメリカ、6位インド)です。このように、わが国では主要なタンパク源は魚でした。米と野菜と魚というのが、伝統的な日本食でしたが、農業と同様に漁業に従事する人が少なくなって、世界一の魚の輸入国になっています。そしてマグロ、サケ、エビをはじめ多くの魚介類を世界の国々から輸入していますが、特にマグロは世界の約3分の1を消費しているのです。このマグロは養殖物が多いのですが、この養殖の方法は天然マグロの稚魚を捕獲して育てているため、天然マグロの減少につながります。
  これを何とか解決したいということで取り組んだのが、近畿大学の水産研究所です。1970年、今から40年前にクロマグロの完全養殖に着手して、2002年6月に成功しました。マグロの稚魚は人間の手に触れると、すぐに死んでしまいます。しかし、幾多の失敗を乗り越え、実に32年の歳月をかけて、ついに夢をかなえたのです。マグロは卵を孵化させて20日後に稚魚となり、約3年で体長1メートル・体重30kgに、5年で体調2メートル・200kgに、そして最終的には体長3メートル・体重500kgにまで成長します。
  現在、鰻の完全養殖の道も開けてきていますし、高級食材のキャビアが収穫できるチョウザメにも挑戦しているようです。このようにさまざまな分野で新技術が開発され、これまで不可能であると思われていたことが実現されてきています。この例でも解るとおり、将来皆さんがやるべき仕事は限りなくあるのです。
  これからはやりたい仕事を見つけることにより、しっかりと進路選択を行なうと共に社会で役立つ力(人間力と学力)を身につけていって欲しいと思っています。

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