« オリエンテーション合宿を終えて | メイン | 平成23年度学園PTA協議会の開催 »

日本の偉人~二宮尊徳④

 23.4.00-2.jpg

  これまで二宮尊徳について3回にわたって紹介してきましたが、これが最終回です。

  尊徳は一生のうちに数々の事業を行ない、これらをことごとく成功に導きましたが、彼の事業の進め方には共通点があったようです。その共通点は〝まず問題の地方の中から最も貧しい村を選び、すべての力をそこに集中するというやり方です。次に、その村の復興のためにその村の中で最悪人と言われている者を改心させることに注力しました。つまり、誰もが最も難しいと思っていることに果敢に挑戦したのです。これがクリアできると、後は自然に良い方に向かう力が働いて、復興に成功することになったようです。
  彼は「この方法を使えば全国を復興することができる。復興するには、これ以外に方法はない。」と身近な人に語っていたそうです。更に、金次郎は改革を実践するにあたって、自らその先頭に立って、現場を指導して回りました。そして、立てた計画を最初から最後まで責任をもって遂行するというスタイルを通したのです。やがて尊徳の成し遂げた復興の実績を参考にしながら、報徳の教えを実践するために地主や豪農が中心となり村民の自主的な組織である報徳結社が各地に設立されることになり、大きな成果を上げることになったのです。
  その後、明治時代になって、二宮尊徳(金次郎)は、経済行為の基礎としての道徳を説いたという点や孝行、学問、勤勉、精励、節倹等の多くの徳を備えた人物として、取り上げられることになりました。そして、昭和初年以降には、小学校校庭の「負薪読書」の金次郎像も一般化することになったのです。

  私も久しぶりに二宮尊徳の伝記を読み直して、戦後日本人が忘れかけてきている精神的な支柱の大切さを痛感しました。また現在、日本は大震災と原発事故からの復興という大きな試練の中にありますが、単に元に戻すという考え方ではなく、新たな視点に立って抜本的な手を打っていかなければいけないと思っています。