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日本の偉人~二宮尊徳③

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  金次郎はさまざまな土地の復興を成し遂げましたが、58歳の時、徳川幕府より日光の復興を命じられました。この日光は徳川家康を祀る日光東照宮のある2万石の神領ですが、高地で起伏に富み、田畑にするようなところは少なく、領民は雑穀を日常に食していました。その上、天明の飢饉(1781-1787)以降、餓死者を多数出し、またこの地を離散する領民も多かったため、ますます人口が減少して耕地も荒れ果てていました。
  この地でまず金次郎が行なったことは、大谷川(だいやがわ)から水路を2里ばかり掘って、これを農業用水に利用する公共事業でした。これによって、荒れ地はたちまち農地となり、領民は自分たちが何をなすべきかという希望の未来が見えるようになり、自分のところに新用水を分けてくれるように申し出てきたのです。
  金次郎は領民に自信を持たせ、動機付けをすることに注力しました。そこで努力する者には直ちに5両、10両の褒賞を与え、どのように励めば豊かになるかを、数字を示しシンプルに語ったのです。

  大きな構想力を持ち、努力する者に対して褒賞し、成功体験を積ませることにより、これを広げていくという方策は、まさに経営そのものであると思います。今は何か新しいことを始めようとすると、すぐにできない理由や難しいという言葉が先行しますが、最も厳しい条件下のものを選んで成功に導き、この小さな成功体験を積み重ねて、大きな成果をあげるという手法は、まさに現代のあらゆる経営体にも当てはまることです。改めて二宮尊徳から学ぶべき点は非常に多くあるように感じています。
                              ≪続く≫