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「勿体ないの心」をとり戻す

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  先日、ケニアの元環境副大臣で、2004年にノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが亡くなられたという悲しい知らせが届きました。彼女は1980年代から90年代にかけてケニアでの森林伐採に反対する運動を行なって、国際的にも名前が知られるようになりました。その後、 2005年の3月に「もったいない」という日本語を国連の『女性の地位委員会の閣僚級会議』で環境保全の合言葉として紹介し、〝限りある資源を有効に使い、みんなで公平に分担すべきだ。そうすれば、資源をめぐる争いである戦争は起きない〟と主張したのです。
  その中で、マータイ氏は「勿体ない」という言葉は「Reduce(減らす)」「Reuse(再使用する)」「Recycle(再利用する)」「Repair(修理する)」という4つのRを包含する日本語独自のものであり、これに当てはまる英語やフランス語やロシア語等、外国語の訳語がないと解説しました。この会議を機に「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉が世界に広がったのです。このように、勿体ないという言葉は尊いものや価値のあるものが、本来のあるべき姿から離れて、粗末に扱われたり、能力が発揮されないことを嘆く気持ちを表しています。
  かつて日本人は日常生活において、常に「勿体ない」と言いながら物を大切に扱い、資源の消費を再利用し、修理をしながら使うことを美徳としてきました。しかし、この「感謝」と「自戒」を示す言葉として用いてきた『勿体ない』という言葉が、経済発展と共に死語となりつつあります。私たちの周りを見ても、食べ物を残す、電気をつけたままにする、水道水を流し放す、まだ着られる服や品物を粗末にする、という無駄があまりにも多いように感じます。
  これから、ますます世界人口が増え、食料、水、エネルギー、さまざまな資源が不足してくることになります。今こそ、日本の素晴らしい伝統である『勿体ないの心』を取り戻し、世界に向って発信していきたいものです。