沖縄研修旅行~平和の尊さを知る
沖縄に到着し、最初に訪問したのは「平和祈念資料館」です。生徒達はここに残されている貴重な資料を見学した後、平和の礎に準備してきた千羽鶴を提げ、沖縄戦線で亡くなられた方のご冥福をお祈りしました。
既に太平洋戦争後66年が経過し、戦争体験をした人は年々少なくなり、当時の悲惨な状況を直接語り伝えることが次第にできなくなってきました。とりわけ、この戦争の末期に繰り広げられ民間人を巻き込んだ沖縄戦線においては実に多くの人が尊い命をなくしました。
現在、恵まれた生活を享受している生徒達は当時の状況を目の当たりにし、別世界の出来事のように感じたのではないかと思います。しかし、今の恵まれた生活は過去の人たちの犠牲のうえに成り立っているのです。振り返れば、この戦争によって最愛の夫や子ども、兄弟等を失い、戦火によって焼け野が原になった大地を見つめ絶望感を味わいながらも先人達は懸命な努力を続けてきました。その結果、日本は敗戦国でありながら世界の国々から〝奇跡〟と言われるような経済発展を遂げたのです。
わが国は平和憲法を持ち、軍隊を持たず、兵器の輸出もしない世界でも稀な国です。しかし、国の防衛はアメリカに依存しているため、現在米軍の普天間基地の移転についての調整に頭を痛めており、日米間の大きな問題になっています。日本の役割は世界の国々に平和を訴えることですが、一方〝自らの国は自らで守る〟という防衛に対する基本の考え方が欠落しています。この軸がぶれると領土問題はじめ多くのことに対する歯止めが効かなくなってしまいます。過去の歴史を見ても自分の国を犠牲にして他国のために戦うということはありえません。今の日本は国民の命や財産を守るための方策を模索していかなければならない極めて難しい状況にあることを認識しておかなければなりません。
今回の経験を機に、生徒達が平和の大切さや国の防衛ということについてしっかりと考えるようになって欲しいと思っています。