戦略の重要性~コダック社の経営破綻
今の時代の特徴を一口で言うと〝変化のスピードが速くて大きい〟ということですが、この変化の潮流をしっかりととらまえて、経営のかじ取りを行なっていかないと取り返しのつかないことになります。昨今の産業界を見ると、どの分野においても二極化が進んできており、かつて業界をリードしてきた名門と言われていた企業の経営破綻が度々報じられるようになってきました。
先日、アメリカの映像機器大手のイーストマン・コダック社が日本の民事再生法にあたる米連邦破産法11条の適用をニューヨークの連邦地裁に申請したというニュースが飛び込んできました。同社は1880年の創業で、35ミリの「コダローム」を発売し、写真フィルムで一時代を風靡した企業です。その後、1975年には世界初のデジタル・カメラを開発しましたが、高収益のフィルム事業にこだわったため、市場の変化対応に遅れをとってしまいました。そして、2003年に本格化したデジタル・カメラの普及に事業構造の転換がついていくことができず、急速に経営が悪化してしまったのです。これと同様のことはレコード業界でも起こっています。このように、デジタル化技術の進歩は、従来の産業構造や業界秩序を一挙に覆すということになってきているのです。
しかし、一方で富士フィルムは、医薬品や化粧品、液晶関連の新規事業を創出する等の多角化戦略をとり、脱フィルムを実現しています。このコダック社の例は圧倒的な強みを持つ事業はなかなか改革できないということではないかと思います。これは教育界においても同様であり〝強みが弱みになる〟ということをしっかりと学習し、経営戦略を構築していくことが重要であると感じています。