グローバル化の進展~④人材の獲得競争
グローバル化の進展には「人・モノ・カネ・技術・情報」等さまざまな潮流があります。既に、このブログでも人のグローバル化について何度か取り上げてきていますが、どのようなことでもやるのは人であり、人質の優劣が成果に結びつきます。昔から〝経営の根幹は人である〟と言われていますが、これからは世界中で優秀な人材を獲得する動きが加速されることになります。現在、日本においては大学生の就職が非常に厳しい状況になっています。しかし、企業が必要としている人材は共通しており、数社から内定通知をもらう人がいる一方で、100社を受けてもどこからも内定がもらえないという人もいます。
内需が低迷する中で、日本経済を成長させていくためには新興国の需要を取り込んでいかなければなりませんが、そのためには海外で活躍していく人材が必要になってきます。これまで日本企業は、あくまで国内で日本人の学生を中心に採用活動を行なってきました。そして、海外事業にあたっても日本人のトップを中心に経営を推進してきました。しかし、最近では経営の現地化が進み、トップにも現地人を起用する企業が増えてきています。つまり、国籍に関係なく優秀人材を採用する『グローバル人材の獲得競争』の動きです。このことは、就職にあたっての競争相手が単に日本人だけではなくなるということです。
また、これから2050年までに輩出されてくる労働人口という観点で見ると、97%は総人口が急増する発展途上国が占めることになります。そして、新興国の大卒労働者が現在3300万人であるのに対し、先進国の大卒労働力は1400万人であることから、新興国のグローバル人材を巡る争いが激化するのは間違いありません。このような状況の下では、日本企業はこれまでのように単純な労働力の確保にとどまらず、世界のトップクラスの優秀な人材の確保を考えていかなければなりません。
そのために、近年急速にグローバル人事制度の導入をはかる企業が増加してきました。即ち、企業のカルチャーを維持しながら、グローバルな視点に立った人材の組織化や採用、育成、配置、交流といった施策を展開していこうというものです。教育界としても、これらの動きを注視し、世界に通用する人材の育成をに努めていかなければならないと思っています。