注目すべき新エネルギー~シェール・ガス
《米エネルギー情報局(EIA)による主なシェールガス層の分布図》
この度、大手商社の三菱商事がカナダ西部にある世界最大規模のガス田の開発と生産を行なう権利の40%を、カナダの資源会社から取得することで合意したというニュースが報道されました。このガス田の埋蔵量はおよそ7.2億トンと見込まれており、日本で消費されている天然ガスの9年分の量に相当するということです。三菱商事は更に、開発する費用も負担することにしており、投資額は合わせておよそ60億カナダドル(日本円にしておよそ4700億円)に上ります。
近年、石油に代わる代替エネルギーの獲得を目指して、国家レベルや企業での動きが活発になってきています。その中で注目を浴びているのが、このシェールガス(shale gas)です。これはシェールという言葉からも分かるように、これまでのガス田から生産される天然ガスとは異なり、頁岩層から採取される天然ガスです。
既に、アメリカ合衆国では1990年代から新しい天然ガス資源として注目を集めてきましたが、従来のガス田よりも深い地中に存在するため採掘方法が難しいという課題があり、開発はあまり進んでいませんでした。しかし、採掘技術の飛躍的な向上と石油や天然ガスの価格高騰等により、その生産に弾みがつきつつあります。また、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの潜在的シェールガス資源も注目され、2020年までに北米の天然ガス生産量のおよそ半分はシェールガスになり、更に世界でのシェールガス開発が進むとエネルギーの勢力分布が変わることも予想されています。
日本では原発事故のあと、火力発電向けの天然ガスの需要が拡大しており、エネルギーの安定確保に向けて、さまざまな取り組みが行なわれていますが、歴史的な円高を強力な追い風として海外における資源分野への投資を拡大している商社の動きについても大いに注目していきたいものです。