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バングラデシュへの道

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  高校時代の友人で、現在『岡本内科こどもクリニック』の院長である岡本新悟氏がいます。先日彼から「バングラデシュへの道」と題する小冊子が届けられました。これによると、この度バングラデシュという国の無医村に入院施設のある病院を作り、昨年奥さんと共にその病院の開院披露と外来患者の診療を行なった後、ノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス教授と会談してきたとのことです。
  バングラデシュという国は、インドに隣接していており、人口は1億4200万人で、世界では7番目に多く、人口密度は都市国家を除くと最も高くなっています。しかし、経済的には、1人当たりのGDPが580$(約46000円)と極めて低く貧困国の1つにあげられています。
  岡本氏は、6年前奈良県立医科大学に勤務していた時、このバングラデシュから1人のレザという名の医師を迎えました。彼はチッタゴン大学を卒業し、公立病院で勤務した後、留学生として日本にやってきました。実に真面目で優秀で、細やかな気遣いのできる好青年でした。彼が4年間の留学を終えて帰国する時に、相談があるということで、岡本君に話しかけてきました。「バングラデシュでは、医者の資格を持っている人は、高い報酬でアラブ諸国に招聘され、それを家族に送金しているそうです。実は自分もサウジアラビアから招聘されているが、何とか地元で貧しい人のために、医療活動を続けたい。そのために病院を建てたいので、建設費を貸して欲しいということでした。この話を聞いて、心を打たれた岡本氏は、間もなく大学の定年を迎えることもあって、奥さんに内緒で自分の退職金を使って、「岡本海外医療援助基金」を創設し病院を作ることを約束しました。そして、昨年ついにこの青年の夢が実現したのです。しかし、貧しい患者の中には医療費が払えない人がたくさんいます。この人達を無料で診療するということになると、病院の経営が成り立ちません。そこで、岡本氏は病院に隣接した土地を購入し、そこにマンゴーの木を植えることにしたのです。そしてお金の払えない患者さんには、このマンゴー園で診療費の代わりに労働奉仕をしてもらうことにしました。このマンゴーを収穫して販売することにより、その収入で病院を経営していこうというものです。更にこの事業が軌道に乗れば、貯えたお金を使って次の病院を建設するという壮大な計画です。そのためにはマンゴーの木をたくさん植えなくてはなりません。現在、彼はその基金を集めるために、多くの人に働きかけを行なっています。
  これからも毎年この病院を訪問するそうですが、グローバルな観点から世界の人々が共に助け合うというモデルになることを祈りつつ、この素晴らしい支援活動の場を広げていきたいと感じています。

http://www.okamotomedicalfund.org/