中学朝礼~大切な土作り
2月8日(水)、中学校の全校朝礼を久しぶりに体育館で行ないました。職員朝礼を終えて、体育館へ行くと全員がキッチリと整列していて、気持よくスタートすることができました。いつものように何人かの生徒に賞状伝達した後、青森県でリンゴ農家を営んでおられる木村秋則さんの育てた〝奇跡のリンゴ〟の話をしました。
〝木村さんがリンゴを無肥料・無農薬で栽培しようと考えたきっかけは20数年前、たまたま入った本屋にあった「自然農法論」という書物との出会いでした。この本には無肥料・無農薬で作った米のことが紹介されていました。木村さんは大きな衝撃を受け、この方法でリンゴを作りたいと思ったのです。そして、片っ端から農業関係の本を読みあさり、無肥料・無農薬のリンゴづくりを始めました。
しかし、それは全く先の見えない無謀な挑戦の始まりでした。期待に反し、リンゴの木は初夏になると葉が黄ばみ落葉を始め、本来5月中旬に咲く花が9月に咲き、小梅のような実がなりましたが、これはまずくて全く食べられるものではありませんでした。それから7年間、花は咲かず害虫と病気との闘いに明け暮れる毎日で全くリンゴが採れず、子どもにノートを買ってあげることも出来なくなり、昼は自分のリンゴ園で作業をし、夜は弘前の繁華街で働くという生活を余儀なくされたのです。そして、世間からも変人扱いされ、全く生きる自信をなくした木村さんは自殺しようと思って岩木山に登ったのです。そこで、弘前の美しい夜景を眺めながら、しばらく佇み、しゃがんで土をすくってみました。すると、この土は畑とはぜんぜん違う匂いであり、畑の草は簡単に抜けてしまうのに、ここに生えている草は根っこが張っていて、力を入れて引っ張ってもなかなか抜けません。この土をじっくりと観察すると、掘っても土の中の温度が暖かく下がらないということが分かったのです。そこで、木村さんは大事なのは『土』だと確信し、土作りに注力することにしました。そして、ついにこの努力が実を結び、8年目に一本の木に7個の花が咲き、その翌年には畑一面にリンゴの白い花が咲き乱れました。こうした血の滲むような努力の結果、木村さんはついに無農薬のリンゴを完成させたのです。
このエピソードから私は二つのことを学びました。一つはどのようなことにも諦めずにチャレンジし続けることの大切さです。そして、もう一つは植物を立派に育てるための土作りのポイントは人間の教育にも繋がるということです。教育環境を整え、お互いに助け合い、励ましながら学習する風土をしっかり作っていくことが何よりも大切であると思っています。〟
あと2か月経つと中学3年生は高校生になり、中学1年生・2年生もそれぞれ進級します。悔いのないよう充実した学校生活を送ってくれることを心より願っています。