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人との出会いを大切に

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  3月12日(月)、一年間の浪人生活の後、京都大学に合格したNさんが手紙を持って校長室に訪ねてきてくれました。昨年は現役で合格してくれることを願っていましたが、残念ながら思いを達成することができませんでした。昨年の合格発表の後、ゆっくり話をすることもなかったため、どうしているか心配していましたが、私が以前贈った〝感動は努力の結晶〟という言葉を眺めながら受験勉強に励んでいたようです。この一年間は落ち込むこともあったとのことですが、多くの人達に励まされながら頑張ってきたことを涙ながらに語ってくれました。私は大学に進学することが最終目標ではないこと、これからは多くの人から学ぶという姿勢を持ち続けて欲しいということを話しました。そして、合格の記念に一緒に写真を撮り、〝人との出会いを大切に充実した人生を送ろう〟という言葉を添えて渡しました。
  有名な陽明学者である安岡正篤氏の言葉に『縁尋機妙』がありますが、これは〝良い縁が更に良い縁を尋ねて成長していくさまは誠に妙なるものがある〟という意味です。安岡氏は人との出会いの大切さについて、この縁尋機妙と共に『多逢聖因(たほうしょういん)』という言葉もあげておられます。この意味は〝良い人に交わっていると良い結果に恵まれる〟ということです。
  人は長い人生の中でさまざまな人に会い、多くのことを学んで成長していきます。しかし、学ぶという謙虚な姿勢がなければ折角の出会いを生かすことはできません。そして、これは得てして頭の良い人が陥りやすいパターンなのです。どんなに優れた人であっても、自分一人の力で大きな目標を達成することは難しいと思います。お互いに人との出会いを大切にしていきたいものです。