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マヤ文明の衰退の原因から見えてくるものは?

 文明の盛衰はよくあることですが、高度なマヤ文明の衰退は謎に包まれているといわれています。11月9日発行の「Science」誌に、「気候変動との関連が認められた古代マヤ政治システムの発展と崩壊」という研究結果が掲載されています。それによりますと、崩壊の原因は壊滅的な火山噴火や地震、伝染病ではなく、気候変動が大きな要因だったとされています。
 洞窟の床面から伸びる石筍から、気候変動と文明興亡の関係を分析したところ、「マヤ文明の古典期初期は、数千年レベルの異例な湿潤期だった。農産物の生産が増え、人口が急増した時期と重なって」と米ペンシルバニア州立大学ダグラス・ケネット氏は話しています。もともと「マヤのシステムは多雨を前提にして構築されていた」。「降雨パターンが変わると行き詰まる」、と同氏は指摘しています。石筍の記録によると、1,020〜1,100年にかけてマヤ地域は過去2,000年で最も長い乾期を経験しているそうです。乾燥時代に入り干ばつが頻繁に発生、「統治者は神々と直接対話できる」という政治システムも、統治者が願っても降雨や豊作が実現せず、影響力が弱まり争いが起こるようになったのではないかとされています。「気候変動の一因はマヤ人自身にある。都市と農地の拡大により森林伐採が広範に進んだため、土壌から大気中に蒸発する水分が減少した。自然の降雨サイクルが遮られ、降水量が減ったのだ」、と気象科学者ベンジャミン・I・クック氏は今回の研究を受けて話しています。
 開発による環境破壊は、今も昔も変わらないということです。環境保護と開発が両立する道は無いのでしょうか。