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乳児に弱者への同情心

 人間の本性は「善か悪か」といったものを論じた「性善説」・「性悪説」があります。孟子が「人は生まれつきは善だが、成長すると悪行を学ぶ」という性善説を、荀子が「人は生まれつきは悪だが、成長すると善行を学ぶ」という性悪説を説いています。この2つの説に関係するかもしれない研究が最近発表されました。
 それは、京都大学教育学研究科の鹿子木康弘特定助教や文学研究科の板倉昭二教授らの研究で、生後10カ月の言葉をしゃべれない乳児でも、いじめられている弱者に同情心をもつことが分かったというものです。乳児は1歳半以上になると言葉やしぐさなどによって、苦境にある他人に同情的な態度を示しますが、それ以前の幼い赤ちゃんについては不明だったそうです。ところが、今回の研究の場面で見られた様子が「後に発達する同情行動の基盤となっているのかもしれない」というのです。
 今回の研究からは「性善説」に軍配が上がりそうです。人間は生まれながらに「善」というものですが、何もせずにそのまま大きくなってくと「悪行を学ぶ」ということになります。それを防ぐための教育の重要性を説いていることを忘れてはいけません。人間の「本性は利己的欲望」とする性悪説も、教育により「善行を学ぶ」というように教育の重要性を説いていることは共通しています。いずれにしても、「誰のために、何のために学び、社会貢献するのか」を念頭において、自己研鑽を怠ってはならないということになります。