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「道場は楽屋、ふだんが本舞台」

 「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」。元プロ野球の野村克也監督の名言として有名ですが、これは、九州の平戸藩の藩主で文武両道に秀でた人物として知られている松浦静山の剣術書『剣談』から引用されたものです。
 この『剣談』のなかに、「道場は楽屋、ふだんが本舞台」というものがあります。ものを学ぶところが楽屋であり道場で、平常が本舞台だというのです。道場ではいろんな技を試してみる、そして失敗すれば直せば良いが、平常である舞台では、失敗は許されないということです。学ぶところが道場ということは、学校が道場ということに置き換えられます。そこではいろいろな試行錯誤を繰り返し、そこで学んだものを身に付けることがことが大切だと考えられます。丸暗記や一夜漬け、その場しのぎの対応や飾り物ではダメです。意識しなくても行動できるように自分のものとして身に付け、日常の生活に生かせるようにならなければいけない、ということになります。学校でいくら立派な態度をとっていても、校外に出ると途端に態度が変わり、周りに迷惑をかけるようではいけない、平常が舞台ということです。人間的成長を目指すということでいえば、学校が「道場・楽屋」、社会が「本舞台」ということになります。
 授業は本来「道場」と位置づけられるものだと思いますが、予習を中心とする家庭学習が「道場」、学校の授業を「本舞台」とするような姿勢で臨むことも必要だと私は考えます。「道場は楽屋、ふだんが本舞台」、含蓄のある言葉です。