« 第2回中学OS&説明会 | メイン | 「SPP」に採択される »

列車がカーブできるためには

P1060655.jpg P1060654.jpg
 車を運転しているときにハンドルを切ると車はその方向に曲がります。車がカーブしている時の内側の車輪と外側の車輪の回転数が同じだと上手くカーブを曲がることができません。何故なら、回転の内側と外側の車輪の進む距離が違うからです。この差を生み出している装置がデファレンシャル(差動機)と呼ばれるものです。車の車輪は独立回転車輪ですから、空回りする車輪(通常前輪)には必要ありませんが、エンジンからの動力を伝える車輪(通常後輪)には必要で、左右の車輪の間につけられています。
 列車の場合、車輪は車軸に固定されている左右一体回転車輪ですから、カーブを曲がるための回転の内側と外側の車輪の回転数の差はつけられません。回転の内側と外側の車輪の進む距離の差を生み出すために、車輪をテーパー状(円錐形)にしてあります。列車がカーブすると遠心力が働き、回転の外側の車輪は円周の大きい方が、内側の車輪は円周の小さい方がレールに接することにより回転差と同じ効果を生み出しています。上手く考えたものです。
 しかし、車輪が円錐状になっているということは、絶えず列車の重みで左右のレール幅を広げようとする力が働きます。そのために定期的に点検し、基準を超えると補修するになっています。レール幅が広がればどうなるかは明白です。脱線します。JR函館線での貨物列車の脱線事故はこの補修を怠ったことが原因のようです。現場のレール幅は基準値以上に広がったまま約1年間放置されていたそうです。
 あることを上手く働かせようとすると、どこかに負荷やひずみが生じます。絶えず点検と対策はどの世界でも大切なことです。