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「真・行・草」

 書道の書体の類型を示す言葉に「真・行・草」という言葉があります。「真」は「とめ・はね・はらい」などを正確に文字通りキッチリと書く「楷書」を表し、最も崩した書き方をする「草書」、その中間を表す「行書」のことを指します。この言葉は、書道の書体を表すだけにとどまらず、日本人の美意識の表現として広く用いられたりします。
 日本の和風建築においても「真・行・草」があると建築家の方から話を伺ったことがあります。和室一つをとってみても、書院造りの床の間や長押などを備えた最も格式の高く整った「真」と,その対極に位置する「草」があるそうです。また、全ての部屋が「真」や「草」ばかりでもバランスが良くないとのことです。一軒の家の中に「真・行・草」がバランス良く配置されているように考えて設計しているとのことでした。その他、茶道や礼法、剣道にもこの言葉はでてきます。日本剣道形の小太刀三本はこの言葉で表されています。
 「学び」においてもこの言葉が適用されると考えます。教えを忠実に「摸写」し、基本を忠実に学ぶところから、自分なりの学びのスタイル、考え方をシッカリ持つものへと進化させていくことです。また、学年進行と共にそれに合った学びのスタイルへと変化させていくということになります。千利休は「真を知り、行・草に至ればいかほど自由にくずそうと、その本性はたがわぬ」と弟子に説いたといわれています。基本となる「真」を知り修得する、そこから本質を理解することが大切だということを表している、と私は考えています。