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年度末、校庭を眺めながら

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午前中の校庭は陸上同好会の練習がありましたが今はひっそりとしています。生徒の元気な声を毎日聞いている者にとっては寂しさを感じます。逆にこの時期を使っての学園の整備や工事の音がします。176号線沿いのセンペルセコイアの木が半分くらいに伐採されました。道路への倒木を防ぐためです。校庭も生徒が運動しやすいように手入れがされています。大がかりなのは中学教室の机、いすの総入れ替えです。教室の床もワックス掛けが施こされます。

先週の日曜日はテレビ桟敷で涙を流した人も多かったのではないでしょうか。私もその一人です。まさかが起こりました。新横綱稀勢の里は、大関照ノ富士を相手に本割と優勝決定戦で連勝し、見事逆転優勝を果たしたのです。左肩を負傷し右手一本で戦いました。普通なら休場でした。君が代を泣きながら歌う姿に多くの人は心を揺り動かされたと思います。一方、敵役を演じることになった照ノ富士、ひざを痛めながらも前へ前へと出ました。こちらも立派、見事でした。稀勢の里の、最後まであきらめないという姿勢に、凄みさえ感じましたが、生徒にもぜひわかってほしいと思います。

さて日経に連載中の「琥珀の夢」。鳥井信治郎はとうとう「赤玉ポートワイン」を作り上げました。丁稚奉公を終え、葡萄酒を作りたいと宣言して9年の歳月が流れました。その間一人、暗い作業所で黙々と納得できる葡萄酒づくりに苦闘していたのです。作者の伊集院静はこの小説の中で信治郎の行為を次のように語っています。「何かの力が、その人に発見なり、新しいものを見出せるのは、当人が寝ても覚めても、そのことと対峙し続けていたからだろう」。鳥井信治郎はどんなときにも涙を見せることはなかったそうです。しかしこの時だけはあふれる涙を拭おうともせず嗚咽したと言われています。赤玉ポートワインはサントリーの原点ともいえる商品です。