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企業最前線! 職業人インタビュー(1)

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清宮克幸さん
早稲田大学ラグビー蹴球部 監督
サントリー株式会社 首都圏営業本部東京支社広域営業第一部 部長代理

 きよみや・かつゆき●1967年,大阪府生まれ。高校時代からラグビーを始め,高校日本代表の主将を務める。86年,早稲田大学入学。2年の時に社会人優勝チームの東芝府中を下し,日本一に。90年,卒業後サントリーに入社。2001年,現役引退と同時に早大ラグビー部監督に就任。2003年1月11日,大学選手権優勝。13年ぶりの大学日本一に導く。著書に「『荒ぶる』復活」講談社。
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 私は,中学2年からラグビーを始めました。当時はサッカー部に入っていたんですが,青春ドラマでラグビーを知り,面白そうだ,と思ったことがきっかけです。

 高校は,当時ラグビーの強豪だった大阪府立茨田高校に入りました。生徒の半分くらいが体育会系の部活に入っていたような,スポーツに熱心な学校でしたね。練習は朝,昼,夕方と1時間ずつぐらいです。あとは普通の高校生でしたよ。友だちとよく遊びにいきましたし,彼女もいましたし,パチンコもマージャンも学生服で平気でやってました。

 高校の3年間で,やりたいことは一通りやりました。普通の高校生プラスラグビー,かな。毎晩10時,11時に帰宅して,もうクッタクタです。余計なことなんか考えるヒマなんてなかったですね。

 しかし,あれだけ部活に熱心だった母校でも,最近は部活をやる生徒がグッと減っている,と聞きました。部活は,スポーツなどを通じて,目標を設定してチャレンジする素晴らしい機会だと思うんです。しかも,自分一人ではなく,仲間と一緒にやるところに意義がある。そういう意味で残念に思いますね。

 また,「いい大学なんて入らなくてもいいや」などと簡単に決めつけてしまう風潮があると聞いています。受験という目標にむけてがんばる,ということは,部活でがんばることと同じ。例えば,早稲田にはみんなもの凄く勉強して入ってくるわけです。そして初めて,早稲田で過ごすという,努力しただけの財産が持てると思うんです。

 大学を出てから40年は職場で働きますよね。それに比べれば,高校なんてたったの3年間です。何でもできる貴重な時間なのにもかかわらず,バイトとか,今から企業にいいように使われることばかりするな,と言いたいですね。

 先生ができることは,がんばれる対象や目標を見つけることを手助けすることだと思うんですよ。それは何でもいい。よくテレビでやる「30人31脚」とか,あるいは空き缶を持ってきて大きなオブジェでも作ってもいい。そういうことをやっていくうちに,進む道も見つかるのではないでしょうか。
 そんなふうに,先生は,生徒をいろんなところに導けると思うんです。アイデアはいくらでも出ると思います。要は実際にチャレンジするかどうかではないでしょうか。
 私自身は,優勝とか,日本一とか,いつも目標があります。

 とは言え,自分はこれまで,何か計算してやってきたということはありません。逆に行き当たりばったりです。その時その時に最大の努力をするというだけ。そうでないと,その後のことが生まれません。高校3年のときの日本代表も,早稲田やサントリーに入れたのもたまたまです。大学の監督も,なろうと思っていたわけではありませんし。

 今をしっかりやらず,先ばかり見ても仕方がないと思います。早稲田の監督は3年間の契約ですが,その間,会社員としての経験が他の人よりできない,などといった不安はありません。そんなこと考えていたら,何もできないと思います。

2003年5月26日掲載
『企業最前線!職業人インタビュー』(キャリアガイダンス@メール,リクルート社)より