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2007年問題

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 文部科学省の試算によると、2007年度の大学・短大の入学定員が67万4000人なのに対し、予測志願者数も67万4000人(浪人4万人を含む)で、収容力(入学者数÷志願者数)は100%となる。よく言われているように,2007年は「大学全入時代」の幕開けである。
 ところが,下のグラフが示すように,国公私立大学の定員に対する入学者数の割合を示す定員充足率(折れ線グラフ)は96年をピークに下降傾向に入り、2000年代初頭にやや回復したものの、03年以降は一気に下降している。同時に定員割れ校割合(棒グラフ)は上昇を続け、06年は前年比で5・4ポイント増の24・5%にまで達した。実は,大学全入時代は、大学が「定員割れの時代」を迎える年でもあるのだ。20070102.jpg

「全入」も実態はまだら模様

 確かに,数の上では「全入」と見えるものの、詳細に見ていくと実態はかなり異なる。例えば、全体の志願者数は減少しているが、国公立大学に絞れば06年度はわずかながら上昇している。ほかにも、総合大学、大都市圏の大学、大規模大学などは実はそれほど苦戦していない。その一方で、私立大学、中でも地方の小規模大学、単科大学などは志願者確保に汲々としており、志願人気の格差が拡大している。
 こうした状況は入試方法にも影響を与えている。特徴的なのは、推薦入試やAO入試による入学者数が増加している点だ。推薦入試(AO入試を含む)入学者が全入学者数に占める割合は06年度は33・0%となった。特に私立はこの割合が高く、47・3%となっている。実に入学者の2人に1人がこの制度によって入学しているのである。
 問題は,競争率の高い大学を目指すことのできる一部の生徒を除いて,多くの生徒にとってそうした定員割れのある大学の中から志望校をどう選ぶかである。説明するまでもなく,定員割れが続いていると大学経営は困難になってくる。入学したときは存在していても,卒業するまで持つかどうかはわからない。そこでどの大学が「安泰な大学」で「有利な大学」かなどを指標にして探したいところだが,実はそれは決め手になりえないのだ。将来的にも安泰かどうか等,大学の情報を集めるのは極めて困難だからだ。それよりも,社会に出て独り立ちする力、どんな状況でも生きていける力をつけることができる場、あるいは人生の目的や生きがいを見つける場として,大学を選択し直すべきであろう。 ところが,一部の大学にあっては,学生の質の低下もあるのだろうが,学生の教育に力を注ぐあまり,情報の集め方,レポートのまとめ方,引いてはノートの取り方すらも教えているところがある。また,学生もそのサービスを当然のように享受し,「いい大学」だと反応する。本当にこれでいいのだろうか?

 大学選びに当たっては、損得や有利不利といった発想は、もうやめた方がいいのではなかろうか。選ぶ理由は、教育内容やサークル活動、あるいは在学生の生活など,多様であっていいと思う。そして,入学時点でその選択を納得できればいいと思う。重要なのは、大学生活の4年間の中で何としても社会で自立できる力をつけるのだという“覚悟”を持つことだ。