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2007年問題

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 戦後日本の経済を支えた団塊の世代が退職を迎えるのが2007年から向こう3年間といわれている。その影響は,技術の伝承や多額の退職金支払いなど,各方面に出ると予想されている。大学進学についても決して無縁ではない。

1 団塊の世代とは

 下図表1のように,わが国の出生数は、明治以降上昇傾向にあったが、戦後、大陸からの兵員引き上げ等で空前の結婚・出生ブームが起こった。しかし、その後すぐに、優生保護法等の人口抑制策がとられたため、出生数は急減し、結果的に3年間だけ、つまり昭和22年から24年生まれ(1947年~49年)で突出した数の人口集団ができた。これが堺屋太一氏が名付けた「団塊の世代」である。
 1970年代に第2の山があるが、これが「団塊の世代」が子供を持ち始めた「第2次ベビーブーム」である。このように,「団塊の世代」は、ただ人口が突出していると言うだけではなく,戦後の死亡率の低下とあいまって,日本の人口成長を支え、旺盛な購買消費意欲と豊富な労働力を持って戦後日本経済の成長を支えてきた世代なのである。

20070103fig1.jpg 諸外国ではどうなのか。図表2は、日米の人口構成を、5歳きざみごとに比較したものである。アメリカでも、戦後に出生ブームが起きたが、人為的な人口抑制策がとられなかったため、出生ブームは20年間にわたって続き、40歳代が人口構成のピークとなっている。ドイツでも移民問題から人口抑制策がとられたが、この山の険しさは日本特有で、現在において、他の先進国には類のない厳しい高齢化や人口減少の問題を、結果として突きつける形になっている。

20070103fig2.jpg それでは一体どれくらいの人数が退職するのか。図表3は、年齢別に、人口、就業者数、常用雇用者数(正社員)の構成・推移を見たものである。団魂の世代は、総数670万人ほどで、そのうちの就業者は450万人、さらには、定年退職の対象となりうる正社員は、男女合計300万人程度と見られている。

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 団塊の世代の歩みを振り返ってみると,昭和22年生まれの人の場合,10歳頃から高度成長が始まり、17歳の時に東京オリンピックを見ている。ビートルズが来日し,ビートルズ世代とも言われる。大学時代は、学生運動の最盛期だったが、運よく高度成長期の最後の昭和46年頃に社会人になることができた。第一次石油ショックに伴う深刻な景気低迷期は、運良く就職した後に経験し、その後、40歳代の働き盛り(昭和60年代)で、バブル経済のピークを迎えた。 その後の「失われた10年」の期間を堪えて、今、第2の人生を歩みだそうとしている。団塊の世代は、いわば、その時々における、日本経済の主役、価値観の担い手であったと言っても過言ではない。

(図表は,三井トラスト・ホールディングス-「団塊世代の退職と高齢者就業問題」より抜粋)