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好きこそ……(2)

「高校生の夏」といえば、高校野球を連想する方が多いと思います。今年の夏の「甲子園ポスター原画コンクール」で全国1196点の応募から最優秀賞に輝いたのは、北九州市の八幡中央高校芸術コース2年生の木下遥さんです。  在学する芸術コースは美術専攻と書道専攻があり、全国レベルの大会で優秀な成績を修めています。NHK教育番組高校講座「美術」にも出演するなど多角的に活動している高校生たちです。彼女も、お互いに切磋琢磨できるこのような環境の中でさらに磨きがかかったのでしょう。

 彼女が美術を志すきっかけは、幼いころ、左利きを右に変えるために、いやいや絵画教室に通わされたところから始まります。「そのままでいいんだよ」という先生の一言に夢中で絵を描き、その絵をほめられた喜びが今につながっているそうです。  

創作の過程を知って、自分の好きな絵をさらに磨くためのたゆまぬ「努力」とどこまでも一つのことにこだわる「強い精神力」を感じました。

 創作にあたって、高校野球に疎かった彼女は、新聞・雑誌の記事や写真を手当たり次第に読み、見ることからスタートしました。有志で応援団をつくる地域の人たち、甲子園のアルプススタンドを目指して練習に励む吹奏楽部員……。高校野球は単に高校生だけでなく、無数の人々がかかわっていることを知り、引きつけられました。80枚の写真を選び、1週間かけてパソコン上で構図を練り、アクリル絵の具の仕上げには3週間かけたそうです。

作品は、そろいの帽子で声援を送る女子生徒や歓喜の選手を背景にして、バットを振り抜く球児の姿が大きく描かれています。ユニホームの陰影が彩色されて強調してあるのは「光を浴びるようにたくさんの人の思いを背負い、全力で打ち、勝ちに行く姿を伝えたかったから」。ここに掲載できないのは、残念ですが、夏の全国大会のポスターを楽しみにしてください。

進路を考えるときに「やりたいことが見つからない」という生徒がたくさんいますが、「好きなこと」はあるはずです。その「好きなこと」を究める努力を本気で始めてみませんか。きっと新たな自分が発見出来ることでしょう。