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好きこそものの・・・(3)

川嶋あいという21歳のミュージシャンをご存じですか。 以前、たまたま平日、自宅にいたときに見た、テレビ番組『徹子の部屋』で紹介されていました。少し脱線しますが、この『徹子の部屋』という長寿番組を見るたびに(と言ってもほとんど見られないのですが)、黒柳徹子女史の話術の巧みさに感心します。もちろん番組ですから、あらかじめ何らかの原稿はあるのでしょうが、どうして、あんなにうまくゲストの心の中にすっと入って、その人の素顔や生き方を浮かび上がらせられるんだろうと思ってしまいます。あのようなスキルが生徒との面談にも大事なんだろうなと思います。 さて、本題に戻って……

川嶋あい プロフィール かわしま・あい 1986年2月21日、福岡県生まれ。15才のときに上京し、路上ライブを始める。2003年2月14日にI WiSHとして発売した『明日への扉』が90万枚を超えるヒットとなる。2003年8月にソロとしてのファーストシングル『天使たちのメロディー/旅立ちの朝』を発売。2005年3月30日に路上ライブ1000回目を達成した。

この『路上ライブ1000回』が、前述の『徹子の部屋』でも紹介されていました。中学を卒業して歌手を志し上京したものの、1年もしないうちに音楽事務所から解雇されてしまいます。そのときの気持ちをこう語っています。

……たった一人、東京の街にほうり出された気がして、すごく辛かったですね。絶望の縁に立たされ、途方に暮れながら、ただ歩いていた時でした。ふと路上で歌っている人を目にしたんです。こんなメッセージの発信の仕方があるんだ、これなら私にもできるかもしれない!……

でも15歳の女の子が一人、人前で歌うことは想像していたよりもとてつもなく勇気が必要でした。2002年2月19日四ツ谷の駅前で震えながらラジカセマイクの前で1曲、か細い声で歌い、歌い終わるとその場から逃げ出すように走り去ったのが1回目。

……ところが、いざ路上に立つと怖くてたまらない。誰も立ち止まってくれないし、何もかも放り投げて故郷に帰りたい気持ちでいっぱいでした。でも、福岡で応援してくれている母のことを思うと帰るわけにはいきません。絶対にあきらめない!……

そして、とにかく路上ライブを1000回やろうと決心し、2002年の6月から渋谷を中心に夏の暑い日も、体調が優れない日も彼女は休む事なく歌い続けます。そんなある日、大学のビジネスサークルの人たちに声をかけられ、音楽界とはまったく無関係の彼らの熱意と協力でオリジナル曲を作り、CDにして・・と夢に向かっていきます。彼らとの出会いから5年。みんなの目標だったレコード会社を立ち上げます。

……今も、まだまだ夢の途中。一つの夢を達成すると、新たな夢が生まれ、その繰り返しで夢がどんどん大きくなっていく感じですね。挫折や絶望を経験したからこそ強くなれた気がしますし、いまこの瞬間を心から幸せだと感じることができるんだと思います。それに何よりも私にとって、スタッフとの出会いは人生最高の出来事。絶望のなかで最大の勇気を振り絞って、路上ライブを始めたからこそ、出会えたんですよね。一歩を踏み出すこと、勇気を持つことの大切さを実感しています。……

3月の学年末考査を終え、4月新しい学年を迎えます。「自分の夢は」「そのためにどんな目標を」と考えてみてください。川嶋さんが「路上ライブ」を始めたのは、前述のように「お母さんとの約束を果たしたい」という思いからでした。自分のためでも、誰かのためでもいいのです。1歩踏み出してみてください。