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読書の夏2~大学入試を意識して新書はいかが?~

さてさて、昨日は小説編でしたが、正直に言うと、大学入試で出題されるのはほとんどが評論!!文章全体を「論理的」に読み取る力を試したいという大学側の姿勢の表れなのでしょうか…?

ということで本日は評論問題で何が今、出題されているか?!です。
実はこちらも最近の傾向があります。そして小説問題より明らかに流行があります。
例えば小林秀雄は過去には頻繁に出題されていましたが、今や現代文の教科書からも消えました。
今、流行っているのは新書からの出題。
昨年の例で言うと梅田望夫『ウェブ進化論』(これは昨年度の慶応大学との高大連携講座の課題にも出された新書です)、大塚英志『「おたく」の精神史』が出題の多かった新書です。新書ブーム再来と言われる今、出題者にとっても手軽に手に入ること、新しい話題で新しい出題ができること…などが新書からの出題が増えている理由のようです。これは現代文の出題に限らず、小論文の出題傾向にも当てはまります。「グローバル化」「ナショナリズム」など近年の世界観を扱った文章や、「教育」「格差」「メディア」などが最近の小論文のトレンドです。

某予備校で906学部の調査をしたところ、評論の出題の多い筆者上位10人は以下のようになったそうです。
1位:上田 紀行(14件)…「生きる意味」(岩波新書)など
2位:茂木健一郎(13件)…NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演中。「脳と仮想」(新潮文庫)など
3位:鷲田 清一(11件)…「悲鳴をあげる身体」(PHP新書)など
4位:山崎 正和(8件)…「世紀を読む」(朝日新聞社)など
4位:夏目 漱石(8件)…「私の個人主義」(新潮文庫)など
6位:齋藤 孝  (7件)…「教育力」(岩波新書)など
6位:正高 信男(7件)…「考えないヒト ケータイ依存で退化した日本人」(中公新書)など
8位:養老 孟司(6件)…「いちばん大事なことー養老教授の環境論」(集英社新書)など
8位:内田 樹  (6件)…「下流志向ー学ばない子どもたち 働かない若者たち」(講談社)など
8位:山田 昌宏(6件)…「少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ」(岩波新書)など

特に受験関係者からは「困ったときの鷲田清一、山崎正和」といわれるぐらい、この二人は受験界の流行作家。
「いつも新書をバリバリ読んでいます」…という生徒は少数派です。ぜひ、高校生は夏には新書も一冊ぐらい読んで欲しいなぁ…。