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読書の夏1~大学入試を意識した小説はいかが?~

夏目漱石、伊藤整、幸田文…既に評価の定まった作家しか大学入試センター試験に登場していなかったのは、過去のことになりつつあります。
例えば、今年の早稲田大学国際教養学部・現代文の入試問題に何が出題されたかご存じでしょうか?

正解は綿矢りさの『蹴りたい背中』。2004年、第130回芥川龍之介賞を史上最年少の19歳で受賞した作品です。しかも綿矢りささんは昨年早稲田大学を卒業したばかり。これはちょっとした驚きでした。

思えば96年に吉本ばななの『つぐみ』がセンター試験に登場して以来、99年に山田詠美の『眠れる分度器』、01年に江國香織の『デューク』(←これは授業で問題を生徒に解かせても涙が出て解けない!という苦情のでる?!作品です。)と現在人気の作家たちの新しい作品がセンター試験には登場してきています。今年のセンター試験の小説問題は堀江敏幸『送り火』でしたが、この人も21世紀に入ってから入試現代文に頻出の作家です。
また、現代の作家で言えば、山本文緒、伊集院静、南木佳士、鷺沢萌、瀬尾まいこ……最近の芥川賞をとった作家や人気作家にも目が離せません。

もちろん、入試全体でみれば、夏目漱石・芥川龍之介・川端康成・中島敦・遠藤周作…といった定番の作家の作品もまだまだ出題されています。評価の定まった作家の作品では新しい問題が作りにくいという事情もあるのでしょうが、教える側の立場で言うと、やはり時代を経て生き残ったこれらの作家の文章は読書力と語彙力を鍛えてくれるものです。是非時間のある夏にはちょっと背伸びした作品を読んで自分を鍛えて欲しいと思います。

図書室にもこれらの本はそろっています。人気の本は夏休みには貸し出し中になりがちなので、早めにどうぞ!

(明日は評論編をお届けします☆)