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学校基本調査(その2)

 引き続き平成19年度学校基本調査(速報)の紹介をします。
平成19年3月の高等学校卒業者は114万7千人で、前年より2万4千人減少です。
進路状況は下図のとおりです
       
       大学学部進学率 短大本科進学率 専門学校進学率 就職率    
 7年卒     23.6%    13.7%      15.7%     25.6%
 8年卒     25.3      13.3        16.1        25.3
 9年卒     27.4      13.0        16.1       23.5
10年卒     29.6      12.5        15.7       22.7
11年卒     32.2      11.6        16.2       20.2
12年卒     34.9      9.9        16.8       18.6
13年卒     35.8      9.0        17.0       18.4
14年卒     36.2      8.4        17.6       17.1
15年卒     36.3      8.0        18.8       16.6
16年卒     37.2      7.8        19.2       16.9
17年卒     39.3      7.5        19.0       17.4
18年卒     41.8      7.1         18.2       18.0
19年卒     44.1      6.7        16.2       18.5
WORDで書いたものをブログに移すと、歪んでしまいました。見苦しい表になってしまいました。

昨日紹介の19年度卒の数字との間に若干の齟齬があるのは速報のためか、それとも孫引きのためか、よく分かりません。
 大学進学率、就職率の上昇と、短大進学率、専門学校進学率の下降が印象的です。上記の数字は現役生のそれですが、浪人生を含めた大学への進学率は47.2%で過去最高を更新しており、男子53.3%と女子40.6%はともに過去最高の進学率です。大学・短大への入学志願率は58.8%で、大学への入学志願率は51.8%、短大へのそれ6.9%となっています。昨日紹介のように、大学と短大を合わせた進学率は過去最高を記録していて、これが「大学全入時代」の到来の予測を大きくはずれさせる原因になりました。
 そもそも「大学全入時代」とは何でしょうか。単純に考えれば、大学・短大への総志願者数と大学・短大の総定員数が同数になれば、「全入」とはいえますが、人気大学への志願者が定員を超せば、その分だけ浪人がでるわけで、その浪人分だけ他の大学の定員に割り込むことになります。そして、定員を割り込んだ大学でも、志願者全員が合格するわけではありません。現実にはかなり込み入った様相を呈するはずです。
 どんな大学でもよければ、21世紀に入ったころから、誰でも入学できる状況になっており、数年前から既に゜「全入時代」に突入して久しいといえます。逆に、浪人生がでれば「全入時代」でないといえば、永久にそんな時代は訪れないでしょう。十年ほど前、今の文部科学省が、まだ文部省と呼ばれていた頃、全入時代は平成21年と予想されていました。それが、平成19年に修正され、実際に19年になってみると、大きくはずれてしまいました。今回の調査で、文部科学省は「全入時代」は数年先にずれこむと推測しています。嫌気がさしたのか、試算の見直しは行わないのだそうです。もともと、「全入」などいうセンセーショナルな標語がいけないのでしょう。

文責 山本正彦