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センター試験はどのようにして作られているか。

 毎年行われているセンター試験。こんな大きな試験を一体誰がどうやって作っているのだろう?もちろん,作成の方法については一切秘密なので,細かい部分まではわからないが,おおよそ次の通りのようだ。

1 問題作成
fig20071018.jpg まず,問題作成には,大学入試センターから任命され委員となった大学教授でつくる「教科科目第一委員会」があたる(構成人数は640名以内と定められている。任期は2年。試験教科に応じて24部会に別れている)。この人選については,大学入試センターが文科省から委嘱されており,イギリス人,アメリカ人を含めて全国国立大学から極秘に選ばれる。数学の作問委員会はメンバーが14人で毎年半数ずつが入れ替わる。
 作成は,該当卒業年度に関わる文部省指導要領(たとえば,20年度入試は17年度の高校指導要領)とそれに準拠した検定教科書の分析からはじめる。出題の難易度および範囲が高校教科書を超えないのはこのためである。したがって,結果的にセンター試験は平均点が60点前後(100点満点の場合)に納まるよう,各問の難易を調整している。この作業がかなり難しい。
 問題ができあがるのに数年かかる。このことは,たとえば英語では読解問題に時局的な話題が取り上げられない最大の理由になっている。
 
2 問題の点検
 つぎに,問題がほぼ絞りこまれた時点で、過去数年内に出題された大学入試問題や特定教科書に出題されていないかどうかチェックする。これには,100名を超える教科科目第一委員会経験者である国公私立大学等の教員及び学識経験者で組織された「教科科目第二委員会」があたる。出題教科・科目ごとに21の点検部会が置かれ,データベース化された過去の問題や教科書に掲載された文章の出典などと照合する。また,「点検協力者」として高校関係者を各科目に3~4人配置している。国語では,問題チェックは約15次にわたる段階が設けられているとのこと。 それでも,17年度の国語で,第一学習社の教科書に掲載されたものと同じものが出題されたことがある。作成以上に膨大な労力を必要とする作業だが,実際この時点で問題のさしかえを余儀なくされることはある。

3 印刷・保管
 どこで印刷されているのか,公表されていないが,問題の漏洩を考慮して,国立印刷局などで行われているのではないかと考えられる。印刷された試験問題は,これも公表されていないが,24時間警備されている保管倉庫に輸送され,実施数日前まで保管される。試験が間近となったある日に厳重警備のもと,全国735会場に送られ,当日まで厳重に保管される。
 なお,入試問題は,本試験用と追試験用,および問題の漏えいに備えた「緊急対応用試験問題」が準備されている。ちなみに,印刷代約17億円,保管・輸送代約1億円である。