伸びる生徒の学習方法
昨日は、脳の特性から考えた合理的な学習方法を簡単にご紹介しました。
本日は、もう少し具体的な方法をご紹介します。
その前に、チョット一言。
脳はそもそも覚えるよりも忘れることを得意としています。特に、短期記憶は忘れるようにつくられているので、学んでも忘れるのは当然。忘れる以上に学び続けるか、忘れにくい学び方をするしかない。
学習とは繰り返しである。毎日、学び続ける習慣が重要です。
成績がよい人とは、忘れても忘れてもめげずに、海馬に繰り返し繰り返し情報を送り続ける努力家に他なりません。
そして、「学習における努力により得られる成果は、等比級数的に上昇します」。
つまり、一ヶ月努力して成果が2倍になったとすると、二ヶ月努力を継続すれば成果は4倍。
一年間努力を継続すると成果は2の12乗倍。すごいでしょう!
これが継続することの大切さなのです。
学習をする上で大切なのは、自分に合った方法を見つけ、毎日勉強し続ける習慣を身につけることです。
習慣は第二の天性です。
学習方法を考えるヒントとして、次のあげるような方法があります。
良く勉強できる人や成績のよい人は、このような方法をうまく組み合わせて、自分にあった勉強方法を確立しています。参考にしてみて下さい。
<伸びる生徒の具体的な学習方法>
(1)積み上げ学習 ・・・・・・・・・ 自信をつけて、次の段階へステップ
ごく易しい問題でも、完全に習熟できるまで何度も何度も繰り返すことで応用力がついていきます。易しいところから順に難しい方へ進んでいく。
この積み上げ学習をすれば雲雀丘学園中学校・高等学校に来ている皆さんなら誰でも賢くなる。
時間がないからと言って、難問に最初から取り組もうとする人もいるが、嫌気がさしたり、自分の無力さに失望するだけ。急がば回れ。
三匹の子ぶたの教訓を忘れるな。
あなたは、すぐに結果を出したいと思って、ワラの家をつくっていませんか?
レンガの家をつくりましょう!
(例)数学・・・・正の数負の数
①18-27= ② 9+(-5)= ③ (-25)+(-14)= ④ (-13)-26=
⑤-19-(-62)= ⑥-3/5 -(-19/13 )= ⑦-7/2 +(-11/3 )-(-7/15 )-0.3+(- 4/7 )=
①,②,③は易しいですね。でも、侮ってはなりません。1つでも計算間違いをするようではまだまだです。④,⑤,⑥は計算間違いをしやすい問題。これもできればいよいよ⑦へ。
教科書や問題集は必ずこの順に配列してあります。
時間短縮のためだと言って焦らず、順に確実にやることが大切。基本的な部分を身につけるには、この方法が最適です。
応用力は基礎を充分に行うことでついてくると心得よ。
(2)確認学習 ・・・・・・・・・・自分で正誤を確かめながら進め。
問題を解いていても、それが正しいか、誤っているかがわかれば、学習意欲が高まり、学んだことがらが、頭の中にスム-ズに入ります。問題を解いたら必ず正解を見て確認しよう。
正解なら楽しいし、誤っていればまた時間をおいてそこをやり直そう。
2~3回反復しているうちに、自然とできるようになってくる。
<漢字、英語の単語、地名、基礎用語などの暗記に有効>
(例)英単語の覚え方
単語帳や単語カ-ドをつくろう。英単語とその意味を分けて書き、必ず一方を隠し、それを他方を見て言い当てたり、書いたりしよう。完全にできたらその反対も。
次には、先生になったつもりで、自分で試験問題を作ってみよう。自作の試験で何点取れるかな?
苦労した程、知識は残る。病原菌に対する免疫力みたいなもの。
”Easy come, easy go. ”
(注意) 答を見ながらとか、単語帳でも英単語と意味を見ながら覚えたのではイメ-ジや雰囲気で覚えただけ。
上から順に覚えて行っただけなら、場所や順序で覚えていたりする。
順番が変わったりするとできなくなる。知識として残っていないのです。
テストのときオテアゲなのはこのタイプ。解答を導くまで、自力で行え。すぐにヒントを見たり、答えを見たりしないこと。
数学の問題では、式と答を覚えようとする。授業や問題集でやった問題とまったく同じ問題を出すと、途中の式を忘れて無茶苦茶になっているのに答だけ正解であったりする。
また、問題は同じようでも数字が違っているのに、そんなこととは知らず、覚えたとおりの答えを書くような人もいる。勉強しても勉強しても成績が下がってくる人はこのようなことをしています。
(3)過剰学習 ・・・・・・・・・ 勉強は腹十二分めで
『一通りできるようになった』,『だいたいわかる』で、終わったのでは、試験で半分ぐらいしかできないでしょう。
一通りできるようになったら、更に余分にそのことを学習する。知らず知らずのうちに要領がわかり、手早く問題のコツを学び取ることができる。
ほんのわずかの時間を使ってでも、余分の学習をすることで効果がアップします。
これがスピードと応用力をつける最善策。決められた時間内で、正解を出さなければならない(スピードが求められる)のが、定期考査やセンター試験などの大学入学試験。
過剰学習が、高得点を保証する。
(例)英語の授業で、"This is a pen."" これは、ペンです。" を学んだとしよう。
これは理解もでき、和訳も英作もできる。宿題はここまで。これでよし。
でも、ここで終わらず、a pen を、変えてみよう。椅子、黒板、リンゴ、鉛筆、猿、先生、生徒などを用い、声を出して言ってみる。書いてみる。
さらに、知識がふえれば、Thisの代わりにThatを用いたり 、These にしてみたり。
この過剰学習こそ文の構成がわかり、単語も覚えるし、発音,英作の力がつく。
問題集や参考書を用いて、授業で学んだところを復習するのもこの方法。
問題集、参考書は一教科一冊ずつ主義で。(学校で購入していればそれ以上は購入不要)
目移りや浮気心は、勉強でも禁物。
(4)全習法と分習法 ・・・・・ 一口で食べるか、少しずつ食べるか
全習法・・・・ひとつの単元を一度に全部学習していく方法。
分習法・・・・ひとつの単元を細かく分けて学習していく方法。
(例)長い詩を暗記する時、最初から最後まで通して読み、それを何回も反復して覚える方法が全習法といい、全体をいくつかに分けて部分ごとに覚えていく方法が分習法です。
<おすすめ>
*やさしい分野や内容とか、国語、歴史などまとまりがある科目は全習法
*難しい分野や内容とか、英語・数学・理科の基本分野などは分習法
ただし、分習法だけで練習をやめると、もう一段高い実力はつかない。
いろいろなタイプの問題を混 ぜて(全習法に切り替えて)過剰学習をすることが必要。
(例)数学の因数分解を練習する時、因数分解に4つのタイプがある。
① ma+mb-mc=m(a+b-c) ② a2+2ab+b2=(a+b)2
③ a2-b2=(a+b)(a-b) ④ X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)
(注)ただし、a,b,Xの後ろの2は、二乗を示しています。入力の仕方がわからなかった。お許しを。
①のタイプを十分練習してから②に移り、②が十分にできて③へというようにやってみよう。
タイプごとにするから、パタ-ンを自然に覚えることができ、どんな変形したものでも見分けることができる。そして、いよいよいろんなタイプの混ざった問題を練習すると、効果バツグン。
(5)プリント、テスト活用法
学校でやった小テストやプリントの問題部分や大切な箇所を切り抜き、ノ-トに貼って、その下かまたは隣にでも再度自分で解答しておこう。復習ができるし、試験勉強のまとめにもなる。
プリントや小テストは重要な事がらの集約である。これを捨てるものは、大切な教科書やノ-トを捨てるのと同じで、愚者のすることです。
定期考査や実力テストも問題を保存するのはもちろん、テストを返却してもらった後、必ずやり直してみよう。間違ったところを、数日、数ヶ月おいてやり直し、できるようになっていたら、その分野は「わかった」といえる。
定期考査を受けながら、どの科目にどのような方法で学習したら高得点とれるようになったか、試行錯誤をしながら、自分の学習方法を見つけてください。