「超氷河期」に職業を考える
― 「職業人に学ぶ」の先に ―
68.8 % ―。 18日,厚生労働省は今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)を発表した。 昨年同時期と比較して,4.3ポイントも下がり,「就職超氷河期」と呼ばれる大学生の就職活動(シュウカツ)の窮状が浮かび上がった。
近年の就職はまさに「情報戦」。 大学生たちは就職情報サイトに登録して,企業情報を手に入れ,出願までネット経由で行う。 私が以前経験したシュウカツでは,他の大学生は「40社受けました」「どの会社にどのエントリーシートを提出したか定かではない」などと話していた。 転職組で1社受験の私には理解できなかった。
また,企業の採用がグローバル化したことも特徴だ。 「社内英語公用語化」をはじめとして,積極的に外国人を採用する企業。 電機メーカーの中には,海外採用が国内採用を上回る会社もある。 以前は,「会社に入ってから鍛える」という言葉もよく聞かれたが,現在は企業が入社時に,学生に高い能力を求めていることは明らかだ。
高校1年生を対象にした今回の「職業人に学ぶ」―。 彼らが就職活動をするのは6,7年後だ。 そのときには日本の大学生を取り巻く就職環境はどうだろうか。 もちろん,職業に関する理解を深めていくことも必要だろう。 しかしながら,それ以上に幅広い知識を身に付け,できることを多くしておくことが必要だ。
生徒たちには,この「職業人に学ぶ」を契機に,しっかりと学習に取り組んでほしい。 今年苦戦している大学生たちは,本格的な「ゆとり教育」をしっかりと受けた世代。 これを採用側が敬遠していなければいいが―。 学校現場にいると,ふとこんな不安がよぎる。(寿)
このたびの「職業人に学ぶ」では,各方面でご活躍の10名の講師の方にお忙しい中ご協力をいただきました。心より感謝申し上げます。