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深海

 世界最大の無脊椎動物と言われるダイオウイカ
1870年に発表されたSFの古典冒険小説 海底二万里/ジュール・ヴェルヌ の中でネモ船長の乗るノーチラス号が「巨人の体長をもつイカ」と対決するシーンは、執筆当時カナリア諸島沖でダイオウイカが発見されたという話をもとに、書かれました。伝説の巨大イカ『クラーケン』のモデルになったのも、ダイオウイカだそうです
 直径5㎝の吸盤、2本の長い触腕を含めると、全長18メートルになるものもいるそうです。でも、これまで生きてその全身を見ることができていませんでした
 それがとうとう、世界で初めて動くその姿をとらえることに成功。その様子が先日、NHKスペシャルで放送されました

 国立科学博物館の窪寺恒己博士や米国やオーストラリアなどから集まった専門家でチームを組み、もう何度目にもなる調査潜水が行われました。場所はもっとも生息する可能性が高いと思われる、世界遺産・小笠原諸島の海域、水深200メートル以上のトワイライトゾーンと呼ばれる所です

 340度の視界を持つドーム型潜水艇、超高感度カメラに、ダイオウイカのエサとなる深海生物の発光を真似た装置、ダイオウイカのフェロモンをばらまいたり、ライバルのマッコウクジラの頭に小型カメラをつけたり、それぞれの専門家が自慢の品を持ち寄り作戦を立てます。そして、その姿を目の前で見ることができたのが、40年来イカの研究を続ける窪寺さんだったのです
 潜水艇のライトも消した真っ暗な深海、我慢強く目を凝らしていた窪寺さんの目の前に、突然その巨大な足が!ライトを浴びて黄金に輝く身体、大きな目。TVでもその迫力が伝わってきますから、その出会いをずっと待ち焦がれていた窪寺さんの気持ちはどんなだったでしょう

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 深海にはまだまだ不思議な生物が多く生息しています。独特の姿をした深海魚や、過酷な環境で生きるために進化した生物。そんな生き物を集めた 
 深海/クレール・ヌビアン(晋遊舎)
 深海魚摩訶ふしぎ図鑑/北村雄一(保育社)
もちろん両方にダイオウイカも取り上げてあります。ただ残念ながら味は「苦くてしょっぱい」「歯ごたえなし」「海水びたしのスポンジみたい」 どうも美味しくなさそうですね

 宇宙に向かってはどんどん研究や調査が進み話題になるけれど、地球の内っ側(海の底)に向かっての研究はあまり話題にならないと聞いたことがあります(確かにスペースシャトルはニュースになっても、潜水艇のニュースは聞かない・・・?)
 でも、今回の放送は反響が大きかったようです。17日午前0:25(16日深夜)から再放送予定。見逃してしまった人、興味がある人はぜひチェックしてみてください