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2014年 本屋大賞

本屋さんが今一番売りたい本を決める「本屋大賞」 
今年は、村上海賊の娘 上・下/和田竜 (新潮社)に決定しました。
 本屋大賞は今年11回目を迎え、受賞はニュースや新聞でも取り上げられます。早速、受賞を聞きつけた人達で、たちまち予約待ちになりました。この作品は昨秋に購入したものの、ほとんど動かなかったのに・・・、メディアの力でしょうか。でも、話題になった本を読もう!とアクションを起こしてくれるのはうれしいことです。

さて、村上海賊の娘。 なかなか男前な娘さんの物語です。 
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 時は戦国乱世。織田信長が頭角をあらわしてはいるものの天下はとれず混沌としていた頃の、瀬戸内海の島々と大坂、難波湾(大阪湾)を舞台にした戦国エンタテイメント小説です。

 信長から攻め立てられた大坂・本願寺から助けを求められた毛利家が頼ったのが、瀬戸内海で最も恐れられている海賊・村上水軍。

 主人公はその海賊たちを束ね「海賊王」と称された村上武吉の娘、景(きょう)。
大変な醜女で男まさりの暴れん坊、20歳にして海賊働きにあけくれていた景は、嫁の貰い手がありません。しかし泉州(大阪南部)では、自らの容姿が「美女」とされモテるということを偶然知り、まさしくこれから戦が行われようとしている大坂へ向かうのです。
 そんな彼女の容姿はというと、小顔でくっきりとした目鼻立ちにスタイル抜群。現代なら美人といわれるでしょうが、残念ながら戦国のトレンドではありません。
 そんなエピソードや登場人物たちのやりとりなど笑える部分あり、瀬戸内海と難波の海賊達との臨場感あふれる戦いの場面ありで、ユーモアと緊張感が両方楽しめます。

 そして、非情な戦、自家存続のためにだけに戦う男たち、他人の為に戦う門徒たちを目の当たりにした景が自分の甘さを思い知り成長していく様子が描かれます。

 特殊な技を持った職能集団である忍びや海賊は、武器が多彩になり、考えや生き方が武士とは違っているようだと話す和田さん。この作品も、海賊たちが、特有の武器を駆使し、知恵と肉体の限りを尽くして、毛利や織田の単なる先兵としてでなく、自分の戦いをする様子を楽しんでほしいそうです。