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結晶の話

 世界結晶年ですから、結晶の話も少し。 
 Newton別冊 すぐわかるビジュアル化学~イラストでみる、原子・分子・結晶・高分子 (ニュートンプレス) を読んでみると
 多くの物質は温度や圧力などの条件によって、気体・液体・固体の3つの状態を移りかわっていきますが、その状態を決めるのが、物質をつくっている目には見えない小さな原子や分子の動き。それらは、方向性を持って規則的な並び方を繰り返しています。それが『結晶』(詳しい事は化学の先生へ)

 この本では他にも、どうしてストローでジュースが飲めるのか、花の香りをかぐ時や熱い缶コーヒーを握った時に原子レベルで何が起きているのか?など身近な事柄とイラストを用いて原子や分子を説明。高校化学で登場する分子式の書き方や有機化合物の化学反応なども紹介してあります。

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  さて、授業とは別に「結晶」と聞いて、思い浮かべるのは「雪の結晶」では?
すでに17世紀頃から、天然の結晶は「美しい」と科学者たちの興味の対象になっていました。雪結晶とは成長する氷。降ってくる雪結晶にふたつと同じ姿をしたものはないそうです。

 そんな雪結晶に魅了された一人、米国の物理学者 ケネス・リブレクト。
彼は氷という物質の特性、結晶が成長しあの様に手の込んだ模様を形成する物理過程、さらに雪結晶を人口的に実験室で作り出す方法などを研究しています。
 SNOWFLAKE/ケネス・リブレクト(山と渓谷社) では、研究内容と共に、彼がこれまで採集した数々の雪結晶の写真が満載。その自然が造るデザインの多様性にびっくりします。そして、とても美しい。

 雪結晶の話題に欠かせないのが、ウィルソン・ベントレー。今から150年程前の米国、子どもの頃から顕微鏡で見た雪結晶の構造に興味を持ち、魅力に取りつかれ生涯写真に収め続けたアマチュア写真家です。晩年、世界で初めての雪結晶の写真集を発表し、その写真はリブレクトをはじめ多くの研究者に影響をあたえました。そんなベントレーの伝記絵本 雪の写真家ベントレー/ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン(BL出版) 

 今週に入り、近畿地方でも北部では初雪が観測されています。今冬は雪結晶ウォッチングしてみてはどうでしょう。その時に雪結晶を、水蒸気が空気中で昇華凝結したものとみるか?それとも、はかない芸術作品とみるか?