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20年になります

 先週末17日、阪神・淡路大震災から20年を迎えました。
朝日新聞によると、関西学院大学・人間福祉学部と共に行った調査では、多くの人達が亡くした家族を今もなお「どうしようもないほど恋しく、いとおしい」と感じ、今もどこかで生きていると考えることがある、と。これからは、記憶を伝え続けることが一層大事になるそうです。
 
 企業買収などをテーマにした小説「ハゲタカ」シリーズなどで人気の作家・真山仁さんは関西出身。20年前に大震災を経験しています。そんな真山さんのこれまでとはちょっと違った被災地の小学校を舞台にした作品。

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そして、星の輝く夜がくる/真山仁 (講談社
 東日本大震災により大きな被害を受けた被災地の小学校に、震災2か月後、応援教師として神戸から赴任した小野寺徹平先生。彼自身も20年の教師生活の中で、阪神淡路大震災を経験しています。
 赴任先では人も街もみんな早く「普通」を取り戻そうと無理しているように、小野寺先生には見えます。そこで、余震になれ、周囲から励まされ続ける子ども達に伝えたのが「地震になれるな」と「がんばるな!」という言葉。そして自己紹介を兼ねた作文を書かせます。テーマは「やってられへんわ!」
 作文を読み、思った以上に子ども達が心の奥に具体的な怒りを持っていると感じた先生は『わがんね新聞』の発行を提案します。「わがんね」というのは東北弁で「やってられへんわ!」という意味。
 毎日やってられへんと感じる怒りだけを書こうと言うのです。「子どもは我慢しすぎたらあかん、大人に気をつかってお利口さんにならんでいい」という先生の言葉に賛否両論の中、新聞1号が発行されます。

 他にも、原子力発電所に勤める父親を持つ転校生、学校から避難中に教え子を失くした先生、ボランティアと地元の人々の関係など、小野寺先生が過ごした1年間、混乱から希望へと向かう街と人々を描いた短編連作集です。