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火山列島ニッポン

 一昨年、小笠原諸島の海底火山の噴火で出現した西之島新島、昨年の御嶽山(長野県)の噴火、今年に入り桜島(鹿児島県)の噴火活動、箱根山(神奈川県)の火山性地震の活発化。先月29日には、口永良部島(鹿児島県)の新岳で爆発的な噴火。あらためて日本は火山列島であることを思い知らされました。

 火山のふもとで生活している多くの人達がいる一方で、関西では火山を身近に感じません。そんな普通の人達に火山について興味を持ってもらいたと思うのは、京都大学で火山学が専門の鎌田浩毅さんです。

火山はすごい~日本列島の自然学/鎌田浩毅 (PHP研究所)
 「これからの科学者は、研究内容を専門家に読ませるだけでなく、世間にわかりやすく伝える技術を持つ必要がある。自分たちがやってることはオタクっぽくて理解されにくいのだから!」と言う鎌田さん。
 ですから、この本は「〇〇山は、✕年に噴火して化学組成は△%で・・・というレポートではなく、日本を代表する5つの火山を取り上げ、その魅力を伝えるために自分の経験したエピソードだけを書いています。 面白いエピソードとして記憶に残ったことは、後で必ず役に立つと語っているだけに、火山の基本が頭に入るようなしかけもある、火山の魅力と脅威にせまった自然学の入門書です。

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地球は火山がつくった/鎌田浩毅 (岩波書店)
 こちらは地球環境の形成に大きく関わる火山噴火の意外に簡単な噴火のしくみ、プレート・テクトニクス(プレートを用いて地表で起きている現象を説明する考え方)など、地球科学の基本が学べます。

 日本が占める地球の陸地面積はわずか0.25%、それに対し7%を占める110の活火山が集まっています。火山は個性豊かです。火山は災害を起こすけれど、大地を生み、温泉等の恵みをもたらします。「20世紀は火山噴火が少なかった、今の状況が普通なのかもしれない」と言う専門家もいます。
 口永良部島でも昨年噴火があったことで、地元の人達が十分に警戒していたので、幸い今回1人の犠牲者もでませんでした。減災には、噴火歴を知る、ハザードマップを活用するなど、日ごろから関心を持つことがやっぱり大切です。