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雨のウェンズデイ

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このタイトルを見て、「あっ」と気付くのは、保護者の皆さんでしょう。生徒諸君でこの題名を知っている人がいたら、なかなかの通ですね。
それはさておき、久し振りのまとまった雨になりました。これからは、一雨ごとに秋が深まりを見せていきます。山が少しずつその色を変えていく様を生徒の皆さんはよく観察してみてください。人間は、自然の一部として、その中で生きているということを、都会で生活していると、ともすれば忘れがちです。それが現代人に様々な心の問題を引き起こしている原因の一つであることは間違いないでしょう。
このことは、すでに近代の初期から指摘されていることです。近代最大の思想家ともいえるルソーは、近代社会が人間の根本を破壊するものであることを早くも見抜き、「自然にかえれ」と提唱しました。現代に続く様々な矛盾や問題点は、自然と人間の乖離が生み出した結果であるといっても過言ではないでしょう。
そうした近代社会の大きな背景となった考え方に、「進化論」と「西洋科学万能主義」があります。それらは、人間が全ての生物の頂点にあり、近代科学によって全ての物事を知ることができるという独善的なものでした。実は、「資本主義」も「共産主義」もどちらもその根底には「進化論」が大きな影響を及ぼしています。
では、人間は本当に一方向的に進化・発展しているのでしょうか?そうしたいわば常識視されていた考え方に真っ向から疑問を呈したのが、先日100歳で亡くなったクロード=レヴィ=ストロースの「構造主義」でした。彼は、現代人が「訳の分からないもの」と感じている無文字社会の人々の思考や宗教にも、実はきちんとした論理性があり、それは現代人の思考と優劣をもって比べるものではない、「野生の思考」と呼ぶべきものだという考え方です。この考え方は、思想界に大きな反響を巻き起こし、ポスト構造主義と呼ばれる様々な思潮を生み出しました。でも、ストロースが考えたことは、そんなに大袈裟な事でしょうか?彼は、南米などのフィールド調査を通じて、おそらく自分と彼らとは「物事に対する対処の仕方が少し違う」だけで、同じ人間だと気付いたのでしょう。そして、その根本的な気づきが偏見のない相対的な文化観へと彼を導いていったのでしょう。
 人間は、学んでいる途中で、「ふっ」とひらめく、あるいは気付くことがあります。学校での学習でもそうです。いわゆる「壁を越える」と言う状態ですね。今日もHRで進路について(今日のテーマは推薦入試)お話ししましたが、進路を定めるためには、まず自らの学力を高めることが必要です。それが進路の幅を広げるのです。先日も模擬試験を実施しましたが、もう自己採点は済ませましたか?間違った問題をやり直してみましたか?そうした地道な取り組みが、自らの希望する進路に近付く第一歩です。
 最後にクイズを一つ。レヴィ=ストロースの『野生の思考』の表紙には、原種の三色スミレの絵が描かれています。それはなぜでしょう?答えは、明日のプログで。
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