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気になる一言

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 あまり話題にならなかったが,先月,ハリウッド版「鉄腕アトム」が公開された。我々にとって,アトムはロボットの代表である。しかも,「彼」は正義の味方ヒーロー。我々にはロボット=「人の役に立つ機械」であり,お掃除ロボットは当たり前の機械だ。
 しかし,いつ頃からだろう,この等式は科学全般に及び,役に立たなければ意味がなく,実利がなければ意味がないという見方が広がっている。

 ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さんは,自分の研究について,「1円にもなりません」と明快に答えたそうである。しかし,小柴さんのカミオカンデや,ハワイ島マウナケア山頂にたてたすばる望遠鏡が映し出す宇宙も,日本の最高水準の技術によってもたらされたものである。純粋科学の成果は直接に役に立つことは少なく,それを支えている技術が間接的に我々を豊かにしているのだが,そんな舞台裏まで考え及ぶ人は少ない。

「1位でなければ駄目なのか」「国民生活にどう役立つのかが分かりにくい」-事業仕分けにおいて出た質問が気になった。