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様々な生徒と様々な教師との出会い

 朝日新聞の夕刊2面に「人生の贈りもの」というインタビュー記事が連載されています。70歳前後以上の様々な分野を代表する人々の越し方のエピソードからその人の人生の軌跡を描き出そうという意図のようです。薩摩焼の沈壽官さん、俳優の加藤武さん、女優の草笛光子さんはじめ、多くの方が登場しましたが、今は建築家の安藤忠雄さんのお話が連載されています。8日の記事にこんな内容がありました。
 安藤さんは、皆さんご存知のように正式の建築学の専門教育を受けたわけではありません。では、なぜ彼が建築の勉強を続け、世界的な建築家になるまで努力を重ねたのでしょうか?それは、中学のときの一人の数学の先生と、工業高校の担任でやはり数学の先生からの影響だと安藤さんは述べています。特に中学の先生は強烈な印象の先生で、
 「教える情熱のあまりチョークは飛んでくる、スリッパは飛んでくる、往復ビンタは飛んでくる」という先生でしたが、その先生は安藤さんに「人生に美学があるように、数学にも美学がある」と教えました。安藤さんは「この二人の影響が大きい。建築の美というのは数学です」と述べています。
 学校という場所には、たくさんの生徒がいます。明るく元気な生徒もいれば,おとなしい生徒もいます。同じように教師にも様々な人間がいます。様々な生徒が様々な先生と様々な場面で交わりあい、笑い、泣き、時には叱り、叱られ、そうして「学校」という場所と時間を作り出しています。
 「これが理想の先生だ」という一つの答えはないと、どこかの教育書で呼んだ記憶があります。生徒の数だけ理想の先生像があるという意味です。一人の教師の長い教師生活の中で「この先生に出会ってよかった」と思ってくれる生徒が一人でもいたら、その先生の教師生活は意義あるものであったといえるのではないでしょうか。安藤さんの二人の先生、特に中学の先生は、今の教育現場ではどのように存在できるのかと、ふと考えてしまいます。しかし、「建築家安藤忠雄」が生まれるきっかけをつくり、今のなお影響を与え続けていることは、二人の先生方の存在した意義を端的に示しているのではないでしょうか。

◎配布物・連絡は、ありません。