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おくりびと - Departures -

 昨日は人権映画鑑賞の日。本年度の上映作品は、日本アカデミー賞・アメリカ合衆国アカデミー外国語映画賞受賞作『おくりびと』でした。
 オーケストラのチェロ奏者から一転して故郷で納棺師の仕事に就くことになった主人公と、彼を通して亡くなった人を送るということを見つめ直す人々。今、世界中のいたるところで私たちが出会っている「死」をテーマにした作品、そして笑いありおとぼけありの緩急自在のストーリー展開。一見の価値ありでしたね。
 54期生の面々は、上映後学園講堂で来週の卒業式の席を確認しました。死が一つの旅立ちならば、卒業もまた旅立ちです。19日には、映画と同じようなあたたかい心に残る式にしたいものですね。
 

 私にとって、中でも心に残ったのは「手で会話する」場面でした。主人公は、亡くなった人の手を取りながら納棺の準備を始め、組み合わせた手に数珠をはめて流れるような一連の動作を終える。大事な人と石を贈り合う石文で相手の心の奥底まで感じようとする。
 ことばには、文字にならない、コトバにできないことばもあると思います。コトバにする努力、コトバ力を磨くことはもちろん大切ですが、時にはコトバにならないことばに心をすませてみませんか。